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基本例題 15 皮膚移植
解説動画
黒い皮膚のマウス (A系統) と白い皮膚のマウス (B系統) を用意し、皮
膚移植に関する次の実験1~3を行った。
第3章
[実験1] A系統のマウスに, A系統の別のマウスの皮膚片を移植した。 また, B
系統のマウスにB系統の別のマウスの皮膚片を移植した。 どちらも移植された
皮膚片は生着した。
[実験2] A系統のマウスに, B 系統のマウスの皮膚片を移植すると, 移植された
皮膚片は小さく縮み, 10日目で脱落した。
[実験3] 実験2で使用したA系統のマウスに, 再びB系統のマウスの皮膚片を
移植したところ, 移植された皮膚片は6日後に脱落した。
(1) 次の文章の( )に入る適切な語句を答えよ。
A系統のマウスに移植されたB系統マウスの皮膚片は非自己と認識され,
NK細胞や(a) 細胞が,移植された皮膚片を直接攻撃する。 そのため, 攻
撃された皮膚片は生着できなくなる。 これを(b)反応とよぶ。
(2)実験3で,移植された皮膚片が実験2より速く脱落したのはなぜか。 次の(ア)~
(ウ)のうちから適切なものを1つ選べ。
(ア) 実験2の移植によって, 体内で自己免疫にはたらく細胞ができたから。
(イ) 実験2の移植によって, A系統のマウスにおいて免疫寛容が起こらなかっ
たから。
(ウ) 実験2の移植によって, B系統のマウスの皮膚片に対する記憶細胞が体内
に残っていたから。
(3) 次の条件で皮膚移植を行った場合, 移植された皮膚片はどのようになると考え
られるか。 皮膚片の脱落が起こる場合は,予想される日数も示して答えよ。
① 皮膚移植を受けたことのないA系統マウスに, あらかじめ胸腺を除去した
B系統のマウスの皮膚片を移植する。
免疫系が未発達な生まれた直後のA系統のマウスにB系統のマウスの組織
を移植し,その後, 成長したA系統のマウスにB系統のマウスの皮膚片を
移植する。
脂 (1) 自己とは異なる系統の皮膚などが移植されると, NK細胞による自然免疫や, キ
ラーT細胞が攻撃する細胞性免疫による拒絶反応が起こる。
(3) ① 胸腺はT細胞の成熟に関係するが, 胸腺を除去した個体の皮膚片を移植しても
移植した個体の免疫には影響しない。
② 免疫系が未発達な時期に非自己の抗原が侵入すると,その抗原に反応するリンパ
球が排除され, 免疫寛容が起こるので, 成体になってもその抗原に対して免疫
応が起こらない。
暦 (1) (a) キラーT (b) 拒絶 (2) ウ (3) ① 10日間で脱落 ② 生着