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【2】 <R750B11> 2015 京都大学
(B) ヒトでは、女性はX染色体を2本, 男性はX染色体とY染色体を1本ずつもつ。 女性の2本
のX染色体はそれぞれ父親と母親由来であるが,一方が不活性化,もう一方は活性化され、不活性
化されているX染色体上の遺伝子が発現しなくなることが知られている。2本のX染色体のどち
らが不活性化されるかは細胞により異なり、父親由来のX染色体が不活性化している細胞と母親
由来のX染色体が不活性化している細胞の割合は、組織によっても、個人によっても異なる。 DN
Aは4つの塩基(A: アデニン, G: グアニン, C: シトシン, T: チミン)からなる。 Cはメチル(C
Ha)基をもつCm と, もたないCに区別することができる。
X染色体上に存在する遺伝子 44 塩基配列 CCGG は, 不活性化したX染色体上においてはC
Cm GGに変化している。 制限酵素 Msp 1 と Hpa ⅡIは, ともに CCGGを認識部位とするが、 Msp 1
は CCGG と CCm GG の両者を切断するのに対して, ImaⅡ は CCGG のみを切断し、 CCmGG を切
断できない。 図1に示すように、 PCR プライマーに挟まれた領域が制限酵素で切断されたDNAは
PCR 法で増幅されない。 また, 遺伝子4は3塩基の繰り返し配列(CAGCAG・・・)をもち,その
長さは対立遺伝子により異なるため、対立遺伝子の由来した親を特定することができる。よって,
DNA を Hpa Ⅱで処理した後に PCR 法で増幅することで, 女性における2本のX染色体の不活性
化状態を解析できる。
いま、 父親および母親の末梢血液の細胞より抽出したDNAを制限酵素処理せずに用いて,図1
のように遺伝子 A にプライマーを設計し PCR法により増幅した。 父親と母親由来のPCR産物を
電気泳動したところ、図2の左から1番目と2番目に示すようなバンドパターンが得られた。
XX
Qory
ACCGG
A
CCGG
A CAG CAG
J
MSPI
問6 母親のDNAを制限酵素 Msp I で処理した後、図1に示すように PCR 法で増幅した。 予想さ
れる電気泳動の結果を図2に示されているバンドパターン (a)~(g)から選んで解答欄に記せ。
X染色体上に存在する遺伝子の変異が原因である疾患の多くは男性が発症するが, 女性の場合、こ
の変異遺伝子をもつX染色体が活性化している細胞の割合により, 様々な程度で発症する。
いま,X染色体上に存在する遺伝子の変異によりタンパク質Bの酵素活性を失う疾患にかかっ
ている患者をもつある家系を検討する。 このタンパク質Bは、末梢血液の細胞でのみ発現し、 末梢血
液の細胞を用いた酵素活性を測定することで解析可能である。
図2に,この家系 (両親と兄,姉, 妹, および, 母の弟の6人)におけるタンパク質Bの酵素活性と
遺伝子 A の PCR法の解析結果を示す。 PCR法には、末梢血液の細胞より抽出したDNAを制限酵素
処理しなかったもの, および, 処理したもの (男性は処理しないもののみ)を用いている。 電気泳動の
各レーン間のバンドの太さの違いは考慮しない。
なお、この遺伝子 / は活性化されているX染色体でのみ発現する。 また, 遺伝子Bは遺伝子の
近傍に位置し, 組換えは起こらないものとする
問7 母親のDNAを制限酵素 Ena ⅡIで処理した後、図1に示すようにPCR 法で増幅した。予想さ
れる電気泳動の結果を図2に示されているバンドパターン (a)~(g)から選んで解答欄に記せ。
問8 姉のDNA を制限酵素 Hpa Ⅱ で処理した後、図1に示すように PCR 法で増幅した。予想され
る電気泳動の結果を図2に示されているバンドパターン (a)~(g)から選んで解答欄に記せ。
HMI
問9 妹のDNAを図1に示すように、制限酵素 EaⅡで処理せずにPCR 法で増幅した場合と、制
限酵素 IIa ⅡIで処理した後に PCR法で増幅した場合、電気泳動のバンドパターンの組み合わせは、
複数の可能性が考えられる。 次の選択肢(あ)~ (L)が示す組み合わせのうち、可能性のあるものを
すべて選び解答欄に記せ。
VX
0
【活性化したX 染色体 ]
PCR プライマール
(4)
制限酵素 タンパク質B
この酵素活性
【不活性化したX染色体】
PCR プライマーA
00
分子量
6
(%)
量は
B
遺伝子 A
制限酵素 Hpa Ⅱで切断される
父
032
C CGG
100
X
C:CmGG (CAGCAG・・・CAG)
遺伝子A
制限酵素 Hpa Ⅱで切断されない
16
×
1
母
親
50
二十
O
O
Msp | Hpa D
問6 問7
いうえおかきくけこさし
(CAGCAG
選択肢
(あ)
(7)>)
(
(17)
(L)
of
(CAG) の繰り返し配列
CAG)
母の弟
X
(CAG) の繰り返し配列
0 100
兄
I
×
B
-b
-B←全細胞で
活性
↓
カット (dl)
PCR プライマー
X
(kas
PCR プライマー
図 1
(a)
(a)
(a)
(a)
(b)
(b)
(b)
(b)
0
O ×
Hpa 0
(注) 制限酵素処理 ×は「しなかった場合」は「した場合」を示す
図2
(注)図では二本鎖DNA の一方の鎖の
配列を模式的に示している
妹
100
しなかった場合
og
Hpa
問8 間 9
PRODA
発現している
CCGG
(b)(=
(a) (b) (c) (d) (e) (f) (g)
図2のバンドパターンの組み合わせ
DNA の Hoa ⅡIⅠ 酵素処理
遺伝子 B
発現していない
Cic GG
C-CH
(a)
(d)
(b)
(1)
した場合
(d)
(1)
遺伝子 B
解答用の
バンドパターン
母
- 674
+B4
-B
- BA
バンドなし
-64-6
-B4-B
活性化されているものによって場合分け
07 - B
-BE
134
<-)
€
・カット f
to 1--1e