されよう。 街で人が気に留めている緑は、実際には都市計画で植えられた植物た
ちのほうではなく、人の管理とは別にスキマに入ってきた植物のほうなのだ。
こうしたスキマの植物の生態上の、また都市生活上の重要性は、従来気づか
れていなかったポイントだろう。昨今、都市部の緑の在り方については、人が都
市計画的に管理下に置いた要素だけでは有機的なものとなりえないことの反省が
なされている。造園会社の設計のもとに、育苗会社から購入した植物を特定の場
所に植え込み、その後はそれ以外の存在を極力排除するといった完全管理型の緑
は、命のつながりを感じさせない点、憩いの場として不完全である。明治神宮の
森が、最初は意図された植栽であったものの、その後、独自の発達を遂げ、生態
系として極めて豊かなものへと成長したのは、そうした完全管理とは対極にある
管理の結果であった。それを踏まえて、最近、東京のオフィス街にも、完全管理
型とは違い、時とともに自ら生態系を構築していく緑地帯の設計・設置が試みら
都市部の緑の在り方を考えるうえでは、そう た路線の延
れ始めている。
役割を積極的に取り込む都市
く生