現代文
高校生

言語文化 雨漏りの音について

「驚いて晴人の顔をみた。」とあるがそのようにしたのはなぜか。本文の内容を踏まえて説明しなさい。

解答は、アパートではなく一軒家なのに昭和っぽいたたずまいの家のイメージが2人とも漫画で知ったものしかなく同じ固有名詞を思い浮かべていたから。って感じで合ってますかね?

また、「晴人が慇懃に差し出した手を茜はわざとらしい、と笑いながらとる。」ここからわかる晴人の性格を本文中の語句を用いて説明しなさい。
解説→慇懃で芝居がかったような性格 であっていますか?

もし間違ってたら解答教えて欲しいです。

80 エンジンが自動でストップする。 この世の進化は毎年毎月、たゆまずに行われているだろうが そのようには進まない。毎月リフォームし続けたり、毎年車を買い替えたりに一 きない。あるときまである技術の中に囲まれて変わらずに暮らし、あるタイミン グでいきなりそのときの最新に切り替えるから、家の内装でも自動車でも、必ず、 格段の変化をみせつけられる。 ついさっき、不動産屋の裏手にとめられたこの車に乗り込んだとき、晴人も 「広いなぁ」とつぶやいたが、あれも過去のそれと比較しないと出てこない感慨だ。 車は大きな通りから住宅街に入り込み、一軒の家の前に寄せて停車した。 「着きました。鍵を受け取り、駐車してくるという女の車を見送り、二人でい きなり中に入らずに家を見上げた。 「なんか……『トキワ荘』みたい。 「分かる!」茜は驚いて晴人の顔をみた。同じ固有名詞を思い浮かべていたの だ。アパートではなく一軒家なのに。それに、かつて天才漫画家が集った有名な アパートの姿を実際にはちゃんと知っているわけでもないのに。 住宅街の中の、昭和っぽいたたずまいの家のイメージが二人とも漫画で知った それしかなかった。晴人が鍵を差し込み引き戸を動かす。ガラガラガラ。これも 「古い」と感じさせる音がしてその奥に暗い玄関と廊下が現れる。ひんやりした 玄関に入り込むとき、「トキワ荘」のような不思議な既視感を二人は再び味わった。 「おっと、気を付けて。靴脱ぎからの段差を先に越えた晴人が慇懃に差し出し た手を茜はわざとらしい、と笑いながらとる。 5 だいたいの内見を終え玄関に戻ると、遅れてきた不動産屋の女が制服姿のお尻 をこちらに向けながら、二人の靴をそろえ直していた。 茜は女に、雨漏りする場所を尋ねた。晴人が尋ねなかったのは、雨漏りの有無 以前に借りる気がなかったからだろう。茜も茜で気乗りしなかった。間取りが複 = 雑で、思った以上に住みにくそうだ。先に図らずも露呈した、駐車のしにくさも デメリットだ。隣家の塀と敷地間の近さや、ジメジメした気配も気になる。だか ら、尋ねる必要はなかったのだが。三人で台所まで戻り、女が天井を指さすと染 みのようなものがみえる。 ということは…………。晴人と女はずっと天井を見上げていたが、茜だけすぐに視 しま 2 トキワ荘 東京都豊島 区に一九五二年から一 九八二年にかけて存在 した木造アパート。 塚治虫などの著名な漫 画家が居住していた。 づかおさむ なぜ床を見たのが 「だけ」だったのか。 + たゆまずに 図らずも 進化退化 格段類 格別 漫画我慢
さ [2] あっとひらめき、慌てて台所に向かうと、洗面器の底に雑巾が敷いてあった。 「気になってさ。 振り向くと、父はソファから起き上がって、ネクタイを片手 で取り外した。もう生き物じゃない、いつもの父だった。茜は「なるほどね」と かなんとか返事したのだったか。 5. 今にしてみれば、なんの含蓄もない話だ。 それでも茜は覚えている。 夜遅くま でアルマイトをたたく水と金属の衝突音と、それを気にしていないようで、気に した父。その後リフォームされるまで、同じ工夫は特にされなかったと思う。 『神式なんですか、いいですね。 運転席の女が弾んだ声音をあげた。 「そうなんですよ。いつの間にか結婚式の話を晴人はしていたらしい。 二つ目の物件の前で今度は茜が鍵を受け取った。 今度の家はトキワ荘みたいで はない。小さな玄関で、追い越すように先に三和土をあがった晴人が恭しく手を 差し伸べる。 「もう、いいから、それ。 「いやいや。おなかの中に子供がいる実感さえまだ持てないのに、なんでもう わべから、 それも芝居がかった形で 応じる 手をとってもらい、茜は 男。 晴人の顔 をみつめた。 これから生まれてくる自分たちの子供が、 この家で暮らす、 この玄関で靴を脱 ぎ、この段差を何度も越え、なにごともなく過ごし育ち、不意に父親を父でなく 生き物のように感じる夜が訪れることを考えながら。 長嶋有 一九七二年〔昭和〕 小説家。 何気ない日常や、家族の生活を描いた作品が多く、俳人としても執 作に、『猛スピードで母は』 『夕子ちゃんの近道』『問いのない答え』 『三の隣は 「雨漏りの音」は、 雑誌 『THE BIG ISSUE JAPAN」 三四二号 (二〇一八 は「私に付け足されるもの』(二〇一八年刊)による。 小説 雨漏りの音
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