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〈光合成のしくみ> 個
光合成の際、光エネルギーはクロロフィルなどの光合成色素群によって捕集され、吸収
された光エネルギーは最終的に光化学系の反応中心にある特殊なクロロフィルに伝達さ
れて光化学反応が駆動される。 この光化学反応は葉緑体のチラコイド膜にある光化学反応
系によって行われるが, 光化学反応系には光化学系Ⅰ (PSI) と光化学系ⅡI (PSⅡI)の2種
類が存在する (図1)。 それぞれの光化学反応中心に存在する特殊なクロロフィルは、光合
成色素群によって捕集された光のエネルギーを利用して活性化され、電子受容体へ電子e
を供与することによって、吸収した光エネルギーを化学エネルギーに変換する。 光化学
反応中心に存在する特殊なクロロフィルは電子を供与すると酸化された状態になるが、そ
れが再び還元される際, PSIではプラストシアニンというタンパク質が、PSⅡIでは水が
電子を供与する。
ストロマ
チラコイド膜
光
COLOPAPSI
100000
チラコイド内腔
2H2O
-H+
PQ
光
シトクロム
複合体
2+2H+
2+4H+) ATP
合成酵素
ADP+PI ATP
BOX
PSIAMOY ZLOKOMS CAMILO
MOTOR
COGITals
Ooooo
(PC)
+4H+
H+ プラストシアニン
ブラストキノン
図1 チラコイド膜で起こる反応
電子e~は破線で示すように、光化学系から放出され, プラストキノン, シトクロム
複合体,プラストシアニンの順に伝達され、光化学系Iに渡される。 PSIは光化学系Iを,
PSⅡIは光化学系ⅡIを, Piはリン酸を示す。
問1 図1の空欄(ア)~ (ウ)に入る物質名を答えよ。
問2 光化学反応と電子伝達系により チラコイド内腔側とストロマ側では、どちらのH+
濃度が相対的に高くなっているか答えよ。
問3 ある緑色植物を用いて以下の【実験】 【実験2】 を行った。
【実験1】 植物に 640nmから700nm までの波長の光をそれぞれ照射して、吸収された
光当たりの光合成活性を波長ごとに測定した。 その結果, 680nmから700nm までの
長波長側の光では, 640nmから680nm までの短波長側の光に比べ,光合成活性が低
下することが示された。
【実験2】 長波長側である 690nmの光は
葉緑体のシトクロム複合体を酸化する
のに非常に効果的であった。 この
690nmの光と同時に短波長側の
650nmの光も照射すると、図2のよう
に シトクロム複合体の一部が還元さ
れることが示された。
これらの実験結果および図1を参考に
して, 以下の(1), (2)に答えよ。
(1) 2つの光化学系である PSI と PSⅡIに関する記述として正しいものを以下の(a)~(c)
の中から1つ選び, 記号で答えよ。 また, その理由も説明せよ。
(a) PSIはおもに690nmの長波長側の光で駆動され, PSⅡIは主に 650nmの短波長
側の光で駆動される。
(b) PSIはおもに650nmの短波長側の光で駆動され, PSⅡIは主に 690nmの長波長
側の光で駆動される。
(c) PSI PS ⅡIともに短波長側および長波長側の両方の光で駆動され、 波長に対する
応答性は両化学系に差はない。
(2) 【実験1】 において, 680nm から 700nm までの長波長側の光だけを照射したときに
[20 東京都立大改〕
光合成効率が低下するのはなぜか。 その理由を説明せよ。
酸高い
合化
体さ
ム 低い
690mm 照射
650nm 照射
時間
図2 光照射条件を変えたときのシトクロム複合体の
酸化還元状態の変化
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