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主吾
沙日本言
尼君を見舞う
(文法)敬語
かいまみ
京都北山で垣間見た若紫に心ひかれた源氏の君は結婚を前提とした後見を申し出ます。し
かし、祖母である尼君は若紫の幼さゆえにためらいます。体調のすぐれない尼君が君紫を
伴って都へ戻ったと聞くや、源氏の君は早速尼君のお見舞いに出かけました。
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いと近ければ、心細げなる御声絶え絶え聞こえて、「いとかたじけなきわざにもは
礼、お詫び一言く頷
べるかな。この君だに、 かしこまりも聞こえたまひつべきほどならましかば」と
好色めい
のたまふ。あはれに聞きたまひて、「何か、浅う思ひたまへむことゆゑ、からすき
どんな味?
ずきしきさまを見えたてまつらむ。 いかなる契りにか、見たてまつりそめしよりあ
はれた思ひきこゆるも、あやしきまで、この世のことにはおぼえはべらぬ」など
あどけない
ひととゑ
のたまひて、 かびなき心地のみしはべるを、かのいけなうものしたまふ御一声、
が
おぼ
いかで」とのたまへば、「いや、よろづ思し知らぬさまに、大殿籠り入りて」
1
が
*うへ
など聞こゆる折しも、あなたより来る音して、こそ。この寺にありし源氏の君
主語
こが
こそおはしたな。 など見たまはぬ」とのたまふを、
いとかたはらいたし
主語
まひしかばぞかし」と、かしこきこと聞こえたりと思してのたまふ。 いとをか
主語
と聞いたまへど、人々の苦しと思ひたれば、聞かぬやうにて、 まめやかなる御とぶ
らひを聞こえおきたまひて帰りたまひぬ。
主語
物語
ロミニ
主吾」
356.
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おほとうごも