このような自然科学の方法は、ニュートンが試みたように、「ふしぎ」の説明とし
て普遍的な話、つまり物理学の法則を生みだしてくる。 これがどれほど強力であ
るかは、周知のとおり現代のテクノロジーの発展がそれを示している。これがあ
まりにすばらしいので、近代人は神話を嫌い、自然科学によって世界を見ることに
心を尽くしすぎた。これは外的現象の理解に大いに役立つ。しかし、神話を全く放
棄すると、自分の心の中のことや自分と世界との関わりが無視されたことになる。
せみの鳴き声を「母を呼んでいるのだ。と言った坊やは、科学的説明としては
間違っていたかもしれないが、そのときのその坊やの世界との関わりを示すもの
として、最も適当な物語を見いだしたと言うことができる。
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