ヒトのからだを構成する細胞にとって重要なエネルギー源
3
であるグルコースは, 血液によってすべての細胞に常に供給
されている。グルコースの供給が滞ると,生命の維持に重大
な問題が生じる。そのため,安定した細胞活動を維持するた
め、ヒトのからだには血糖濃度 (血液中のグルコース濃度)
を一定に保つ血糖濃度調節のしくみが備わっている。
糖尿病は,この血糖濃度調節がうまくいかなくなり,尿中
にグルコースが排出される病気である。空腹時に一定量のグ
ルコース液を飲み, 前後での血糖濃度や血液中のインスリン
a
濃度などを調べる糖負荷試験という検査がある。図1は, 3
人の被験者(X, Y, Z) に対して行った糖負荷試験の結果を
負荷前 1時間後2時間後
示したものである。なお, 3人の被験者のうち、Xは健康な
被験者 ロX ■Y ■Z
ヒト, YおよびZは糖尿病患者である。
図1
血糖濃度の調節は, グルコースなどの炭水化物の摂取量が
過剰な場合にだけ起きるわけではない。エネルギー源である
炭水化物が不足した状態で運動を続けると, 不足するグルコ
ースを確保するために, 副腎皮質から分泌されるホルモンで
ある( ア )のはたらきにより, 組織中の( イ )からグ
ルコースが合成されるようになる。図2は, 十分量の炭水化
物摂取状態における運動時 (十分·運動時)または炭水化物
欠乏状態における運動時 (欠乏·運動時),そして安静時の汗
ウ
|オ
エ
の中に含まれる尿素濃度の測定結果をまとめたものである。
図2
血糖濃度
065 4 3 2 1 0
インスリン濃度(相対値)
汗中の尿素濃度 (相対値)