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4. 逆関数についてきちんと説明しておきます。
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実数の区間 I で定義された関数 f の値域をJ (これも実数の部分集合) と
すると,f:I→Jです.fの逆関数」とは,I∋x f(x) ∈ J の逆の対
応のことで,それをg とかくと,g:Jay → g(y)∈I で
y = f(x) ⇔ x=g(y)
がすべてのx∈I, y∈Jで成り立ちます.したがって,
f(g(y))=y(yeJ), g(f(x))=x (x ∈I)
(3)
がつねに成り立ちます. 逆関数が存在するための条件はf: IJが1対
1であることで,微積分のためにはf は Iで増加関数または減少関数であ
るときだけ(そのような区間だけで)を考えます. またf, gが微分可能の
ときには,逆関数の導関数は③を微分すると得られます.例えば第1式をy
で微分すると,合成関数の微分により
f'(g(y))g(y)=1
:. g(y) =
f'(g(y))
であり,f(x) = sinx,1=(-1)J=(-1,1) (それぞれ実数の開
区間) のときには sing(y) = y だから,
「のとき
のとき
1
1
g'(y) =
=
1
V1-12
cosg(y) V1 - sin2g(y)
yをxにおきかえたものが3. 例 II (1) の答です.
逆関数は②により定義されるもので, ひらたくいえばy=f(x) を x につ
いて解いたものです. これは普通は g(y) のように y の式になりますから,
独立変数を x にするという慣習によりy を x におきかえて g(x) とします.
だからy = sinx の逆関数を独立変数 x で表すと x = siny を y について解
いたものになります. また, ②からわかるようにxy平面でのy=f(x) の
グラフとx=g(y) のグラフは同じです.xとyを入れかえて y = g(x) と
するので,そのグラフはy=f(x)のグラフと直線y=xについて対称にな
るのです.ここでは, 逆関数については②, 同じことですが③が本質である
ま
ことを強調しておきます.
なお, f-1 という記号があるので,もちろん使ってもいいのですが、 微積
分ではまぎらわしいので避けた方がよいでしょう. 実際 sinx は sinx の
逆関数なのか sin x の逆数なのか、わからなくなってしまいます。