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金属カリウムに 350 nm の光を照射した. 金属カリウムの表面から放出された
電子の運動エネルギー (eV) を求めよ.ただし, 金属カリウムの仕事関数は
例題11.1
2.26 eV とする.
照射した350 nmの照射光のエネルギーEは,
解
E= hV = hc/a
6.626 ×10-34 Js× 2.998×10° ms-!
350×10-9
- 34
5.6756 × 10-19 J
m
5.6756×10-19 J
1.6022×10-19 JeV-1
= 3.542 eV
三
となるので,金属カリウムの表面から放出された電子の運動エネルギーは(11.7) 式から、
(1/2) mov? = 3.542 eV- 2.26 eV
= 1.282 eV
である。
11.1.3 ボーアの原子模型と水素原子の線スペクトル
1908年,Thomsonは 「一定の半径を持つ均一に広がった正電荷を帯びた球があり,電気的に
中性にするために正電荷の球の中に負の電荷を持った電子が埋もれている」という原子構造を従
出した。古典物理学によれば, 荷電した物体が回転運動すると,必ず電磁波を放出してエ不ルイ
ーを失う、このことは電子が静止している状態が最も安定であることを意味するため,このほに
は古典物理学によって支持された.ところが, 1911年,Rutherford は薄い金属箔にα線を照射
して得られた散乱α線の角度分布の解析から, 「原子の中心に正電荷を帯びた球があり,負の電
一荷を帯びた電子がその周りを回転している」 という構造を提出した. この構造は太陽の周りを地
三球が回っているのと同じ構造をしていることから, ラザフォードの惑星モデル*1 と呼ばれてい
る. ラザフォードは正しい水素原子の構造を提出したにもかかわらず, この構造に古典物理学を
適用したため,最終的には前に述べたトムソンモデルと同じ構造となってしまった。
1913年,Bohr は一部古典物理学を否定する次の1
の円軌道(電子前)