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古文読解
この問題は、古文読解の方法とその内容把握について、
学力を確認します。
大問番号 5 次の文章は「醒陣笑」の一節で、京都所司代(京
都の治安維持の任務にあたった幕府の役職であった板倉伊賀守勝
の息子が、その職を引き継いで、所司代として訴訟を裁定する場
面である。 これを読んで、後の各問い (問一~四)に答えよ。
いたくらいのかみかづ
宿に戻り、「公事勝ちたり。 さらば尼にならん」と、親類言ひ
(注6)
合はせぬ。再び許とて、決断の座に出でたるに、「そちは髪を
剃りたるか」と尋ねらる。 「なかなか二度夫を持ち、うき世の望
みあらばこそと思ひ定め、 出家の姿にまかりなりて候ふ」 と。 そ
の言下に所司代、「さらば、出家とは家をいづると書きたるまま、
この座敷より、すぐに家をいでよ」と。
※出題の都合上、本文には一部改変した部分がある。
優れた裁定を数多く残したこと
板倉伊賀守勝重。
(注7)
(注) 1 御所司代
で知られていた。
(注1)
2 惣領跡取り。
御所司代七十に余れば、功名かなひ遂げて身をしりぞき、嫡
子継いで天下の所司代たりし
3
治れ
ここでは「跡を治れ」で「家を継げ」の意。
泊めよ。
→
後家
夫を亡くした女性のかつての呼称。
ままはは
上京にある家主果てけるに、あまりの子あり。母は継母。
6 裁許
詮索し、済まさん詮議し、明らかにしよう。
訴訟の判決を与えること。
(注2)
(wi)
そうりゅう
1
うき世の望みあらばこそ現世で生きる希望をもつことが
あってはなるまいと。
「その惣領には、家を渡すまじ。 我に跡を治れと夫の遺言なり」
と言ふ。惣領は「眼前の親子たる我をのけ、別に誰か家を治るべ
きゃ」と怒り、所司代へ双方出でけり。 互ひの意趣を言ふ。 口上
に妻の申すやう、 「後家と書きて何と読み参らする」と。所司代、
「のちの家と読む」 とあれば、「その儀ならば、 我の治らではぬ
事にこそ」と申す時、「まづ立ちて帰れ。重ねて詮索し、済まさん」
(注5)
④ア
となり。
問一
二重傍線部アイの主語の組み合わせとして最も適当なも
のを、次の①~④のうちから一つ選べ。解答番号は
224
①ア惣領
継母
2
惣領
惣領
継母
継母 イ惣領
継母
と。
問二部A 「その儀ならば、我の治らで叶はぬ事にこそ」と
あるが、どういうことか。その説明として最も適当なものを、
次の①~④のうちから一つ選べ。解答番号は25
① 「後家」という言葉は「後から家に」来た者という意味な
ので、この家に先に住んでいた息子に家を継ぐ権利があると
いうこと。
「後家」という言葉は「のちの家」と読むのだから、主人
が亡くなった後のこの家は、自分こそが継ぐべきであるとい
うこと。
③ 「後家」という言葉は「後ろから家を支えるという意味で、
主人が亡くなったこの家を、息子と一緒に継ぎたいというこ
④ 「後家」という言葉は「のちの家」と読むのだから、息子
家を治めた後は、自分がこの家を継いでいく他はないとい
うこと。
(H)HOLSSO
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