ジャコブとモノーは,大腸菌の野生株が,培地にラクトースがあるとき
のみラクトースの代謝にかかわる酵素 (βガラクトシダーゼ)を合成する
のに対し,ラクトースの有無に無関係に常にこの酵素を合成する突然変
異株を2種類(A,B株)見つけた。これらの突然変異株に野生株のラ
クトースオペロンにかかわる領域のDNA(調節遺伝子, プロモーター,
オペレーター, 3種類の酵素の遺伝子)を導入すると, A株はラクトース
の存在下でしかこの酵素をつくらなくなったが,B株は常にこの酵素をつ
くり続けた。ただし,野生株のDNAを導入しても,突然変異株がもとか
らもっていたラクトースオペロンの機能は維持されるものとする。ま
た,突然変異株に導入した野生株のラクトースオペロンは, 野生株の細
胞内にあるときと同じように機能するものとする。