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【問題】以下の文章および図は、現代のアメリカ社会における「社会的なつながり」に関するものである。これらについて、下記の
問1、問2、間3に答えなさい。
「社会科学者がしばしば用いる「社会関係資本(ソーシャル·キャピタル)」という用語は、社会的なつながりの程度を表現している。
ーそれはすなわち、家族や友人、知り合いとのインフォーマルな関係、市民組織や宗教、運動チーム、ボランティア活動への参加、その
他といったものである。社会関係資本は個人の、またコミュニティの健康度の強力な予測要因であることがこれまで繰り返し示されてき
た。コミュニティのきずなと社会的ネットワークは、健康や幸福度、教育上の成功に経済上の成功、治安、そして(とりわけ)児童福祉
に強い影響を持っている。しかし金融資本や人的資本と同様に社会関係資本の配分も均等ではなく、そしてこれから見るように社会的つ
ながりにおける違いは青年期の機会格差に貢献してしまう。
これまで多くの研究が示してきたのは、教育水準の高い米国人は、家族や友人といった最も緊密な輪の内側にも、またより広く社会の
中にも、広範で深い社会的ネットワークを有しているということである。それとは対照的に、教育水準の低い米国人がもつ社会的ネット
ワークは、よりまばらで、それらは家族の中に集中している。すなわち大卒の親は教育水準の低い親と比べ、近しい友人も、会釈する知
り合いも、どちらもより多いのである。
図 5.1が示すのは、人種と階級の双方が、「親密な」友人を持つ度合に影響するということである一これらはある種の「強いつながり」
で、社会的一精神的な、そして(いざというときは)物質的支援を提供してくれるものになっている。
おそらくさらに重要なのは、(図 5.2 が示すように)教育水準の高い米国人にはより多くの「弱いつながり」もあることである。これ
は、より広範で、多様性の高いネットワークとのつながりを指す。こういった社会的つながりに手が届くこととその多様性は、社会移動
や教育的また経済的前進にとって特に価値を持つが、それはこのようなつながりが、豊富な専門性やサポートを利用することを可能とす
るからである。」(注:社会移動とは社会的地位の移動を意味する用語である。)
図5.1 教育水準が高く裕福な白人の親が持つ親密な友人の多さ
図5.2 教育水準の高い現が持つより広範な社会的ネットワーク
7-
100%-
開非白人
高卒以下
白人
80%-
■大卒以上
6
5,9
60%
5.4
5.1
40%-
4.7
20%-
4.0
4
0%
3
「~に知り合いがいますか」
SES下位1/5
出典:Social Capitai Community Benchmark Survey, 2000 年。
SES中位
SES上位1/5
出:Pew Research Ceater 2010年11月調査。
(注)SES とは、社会経済的地位という意味である。
(出典:ロバート.D.パットナム『われらの子ども米国における機会格差の拡大』創元社、2017年、一部改変)
アメリカにおける社会関係資本の不平等について、図 5.1と図 5.2 の統計的結果から客観的に分かることは何であるかを、筒潔に
説明しなさい(200字以内)。
問1
「弱いつながり」を多くもつ家庭では、家族の生活の中で、具体的にどのような形で有利さが存在すると思うか、上記の文章を参
考にしつつ具体例を挙げて説明しなさい(400字以内)。
間2
問3 インターネットやスマートフォンの普及は、社会関係資本の社会的格差を縮める助けになるだろうか。あなたの考えを明確に述べ、
その理由についても具体的な事例を挙げながら論じなさい(600 字以内)。
親密な友人数
国会議員
大企業CEO
大学教授
ビル管理人
中学校教師
弁膜士
警察官
看護師
近所の人