796 助動詞入門
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①「り」はサ変動詞の未然形か四段動詞の已然形(命令形) に接続。 「そむく」
は行四段活用動詞で、その已然形 (命令形) は「そむけ」である。
②断定の助動詞「なり」は活用語には連体形に接続。 「おはす」はサ変動詞
なので連体形は「おはする」である。
次のの語をそれぞれ適する形に活用させよ(直下はすべて助動
まずは直下の語の接続を確認する。 次に空欄の語の活用の種類を確認して
活用させる。
同で終止形)。
五十の春を迎へて、家を出で世をそむくり
五十歳の春を迎えて、出家し俗世を離れた。
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②国守のおはす なり。(「おはす」はサ変・「なり」は断定)
国の守がいらっしゃったのである。
大納言、南海の浜に吹き寄する。
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大納言は、南海の涙に吹き寄せられる。
⑥ いみじく思し嘆くことありべし。
どく思い嘆きなさることがあるのだろう。
の音は遠きまされり鳥すら遙かに聞けばをかしけり
いろいろな)ものの音や声)は遠い方が勝っている(→遠くで聞く方がよい)。 鳥
さえ遠くで聞くといいんだよなあ。
⑥めでたしと見る人の、心劣りせらるる本性見えむは、口惜しべし。
素晴らしいと思って見ていた人の、ついがっかりしてしまう本性(=生まれつきの
性質)が見えるのは残念であるに違いない。
そむけ
⑤
④
③
②
①
⑥
おはする
吹き寄せ
ある
をかしかり
口惜しかる
?
③は未然形に接続。「吹き寄す」はサ行下二段活用の動詞で、その未
形は「吹き寄せ」である。
④「べし」は終止形接続の助動詞であるが、ラ変型活用語には連体形に接続
する。「あり」はラ変動詞なので、その連体形「ある」が答え。
⑤「り」は連用形接続の助動詞。 「をかし」はシク活用の形容詞で、下に助
動詞がつくときは原則的に「シカリ」系列を用いる。 「シカリ」系列の連
形は「をかしかり」。
⑥④と⑤を複合した難問。 「べし」は終止形接続の助動詞であるが、ラ変
型活用語には連体形に接続する。 「口惜し」はシク活用の形容詞で、下に
助動詞がつくときは原則的に「シカリ」系列を用いる。 「シカリ」系列は
ラ変型の活用をするのでその連体形 「口惜しかる」が答え。
文