③受身尊敬自発可能の助動詞「らる」は、未然形接続です。これは、「らる」の上が未然形でなければならないということです。
「吹き寄す」を未然形にしてみましょう。
打消の助動詞(未然形接続)の「ず」を合わせると、「吹き寄さず」「吹き寄せず」の2通りが出てきてしまいます。
これは、実はどちらも存在しているのです。
未然形が「吹き寄さ」になるのは、サ行四段活用の他動詞です。「吹き寄せる」のように訳ができます。
未然形が「吹き寄せ」になるのは、サ行下二段活用の自動詞、他動詞です。
自動詞なら「吹き寄る」、他動詞なら「吹き寄せる」のように訳ができます。
(※「~が~する」となるものが自動詞、「~を~する」となるものが他動詞と考えると良いです。)
大納言という人がいて、その人が波に吹き寄せられているシーンです。「波が吹き寄せる」(~が~する)となるので、自動詞です。サ行四段活用の方は他動詞しかないので、サ行下二段活用の方になります。未然形は、「吹き寄せ」です。
活用は「せ・せ・す・する・すれ・せよ」でしたね。
順番がぐちゃぐちゃですが、「らる」の文法的意味は「受身」で、「~される」と訳します。「吹き寄す」を受身にして、「吹き寄せられる」と訳します。
続きは下に書きます↓
⑥推量の助動詞「べし」は終止形接続です。ですが、ラ変型の活用語には連体形に接続します。
※ラ変型の活用語とは、ラ変動詞はもちろん、形容詞(カリ活用)や、形容動詞、ラ変型に活用する助動詞(完了の助動詞「り」や、過去の助動詞「けり」など)のことです。
形容詞は、下に助動詞があるときは、、、
カリ活用(シカリ活用)を使うんでしたね。
シカリ活用は、ラ変型の活用語になります。なので、推量の助動詞「べし」は、終止形ではなく連体形に接続します。
「べし」の上は、連体形だとわかったので、「口惜し」というシカリ活用の形容詞を連体形にします。「しかる」と合わせて、「口惜しかる」となるわけです。
⑥のラ変型の活用って何になるか教えて頂きたいです。
「ら・り・り・る・れ・れ」と活用する語です。
例えば、完了の助動詞「たり」はラ変型で、
「たら・たり・たり・たる・たれ・(たれ)」
となります。
推定の助動詞「めり」も、ラ変型で
「〇・(めり)・めり・める・めれ・〇」
となります。
つまり、終止形が「〇〇り」となるものです。
今回の問題の、形容詞のシカリ活用も、
「しから・しかり・〇・しかる・〇・しかれ」と、ラ変型の仲間ですね。
⑤
形容詞の活用は、2種類あります。
1つ目が本来の活用(本活用)です。
「く・く・し・き・けれ・〇」
2つ目は、補助活用(カリ活用)です。
「から・かり・〇・かる・〇・かれ」
普通は本活用を使いますが、下に助動詞が来た時はカリ活用を使います。
これより上の説明は、形容詞ク活用(カリ活用)の説明ですが、形容詞シク活用(シカリ活用)でも同じことが言えます。
本活用
「しく・しく・し・しき・しけれ・〇」
補助活用(シカリ活用)
「しから・しかり・〇・しかる・〇・しかれ」
過去の助動詞「けり」は連用形接続なので、「をかし」を連用形にします。「をかし」の下に助動詞があるので、シカリ活用を使います。連用形は、「しかり」なので、合わせて「をかしかり」となります。