基本例題 58 ローレンツカ
真空中で図の正方形 abcd の内部を磁場が紙面に対して垂直
に貫いている。いま, 質量 m[kg〕,電気量e [C] の陽子が, a
から 〔m〕 離れた図の位置から ad に垂直, かつ磁場に垂直に
速さ [m/s]で入射し, aとbとの間から abに対して垂直に
磁場の外へ飛び出した。 磁場は abcdの内部のみにあり, 一様
であるとする。また,陽子は紙面内を運動するものとし,重力の影響は無視する。
(1) この磁場の向きと磁束密度の大きさを求めよ。
(2) 陽子が磁場内に入射してから磁場の外に飛び出すまでの時間を求めよ。
解答 (1) ad に垂直に入射した陽子が, ab に
垂直に磁場を抜け出たことから, 陽
子は点aを中心とする半径r[m〕
の円軌道を運動し, ローレンツ力は
軌道の中心点aを向いていたことが
わかる。フレミングの左手の法則よ
り 磁場の向きは紙面の表から裏の
向きである。 磁束密度をB[T〕 とす
ると,等速円運動の運動方程式より
POINT
指針磁場に垂直に入射した荷電粒子は、磁場から運動方向に垂直なローレンツ力fを受け,こ
の力を向心力として等速円運動をする。磁場の向きは,正電荷の運動の向きを電流の向き
として, フレミングの左手の法則で考える。
2²
m = evB
r
mo
よって B= (T)
er
(2) 磁場内の円弧は円の4
180
向心力=ローレンツカ
V
2πr
4
磁場内における荷電粒子の運動
a
m-
n² =qvB
d
分の1だから, 飛び出
すまでの時間を t〔s] とすると
vt==
a
Tr
よってt=- [s]
2v
b