64. イオン結晶■ 図のように, ナトリウム Na
の塩化物は塩化ナトリウム型, セシウム Cs
の塩化物は塩化セシウム型の結晶構造をとる。
次の各問いに答えよ。
(1) 塩化ナトリウムの結晶における, Na+,
CIの配位数をそれぞれ記せ。
(2) NaClの単位格子に含まれる Na+, CI-
の数をそれぞれ求めよ。
10.564nm
塩化ナトリウム
Na+
CI
CI
CI
0.412nm
(3) Na+, Cs+ のイオン半径をそれぞれ求めよ。 ただし, CI-のイオン半径は 0.167nm,
√3=1.73 とする。
(4) フッ化ナトリウム NaF とフッ化セシウム CsFの融点は, それぞれ993℃, 684℃で
ある。 CSFの融点が NaF の融点よりも低くなる理由を60字程度で記せ。 ただし,
NaF, CsFはともに塩化ナトリウム型の結晶構造をとる。
(10 東北大 改)
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0.412
塩化セシウム
(3) ナトリウムイオン Na+ のイオン
半径を x[nm〕 とすると, 塩化ナトリ
ウム NaClの単位格子の一辺の長さ
0.564nm および塩化物イオン CI-の
イオン半径 0.167nmから, xは図の
ように表される。 したがって,次式が
成り立つ。
(0.167nm+x [nm])×2=0.564nm
x = 0.115nm
セシウムイオン Cs+ の半径をy[nm]
とすると, 塩化セシウム CSCI の単位
格子の対角線の長さ/3×0.412nm
および塩化物イオン CIのイオン半
径0.167 nm から, y は図のように表
される。したがって, 次式が成り立つ。
(0.167nm+y[nm]) x2=√3×0.412nm y=0.189nm
(4) 同じ結晶構造をもつイオン結晶では, 陽イオンと陰イオンの間に
働く静電気力 (クーロン力)が大きいほど, 融点は高くなる。 静電気力は,
両イオン間の電荷の積の絶対値が大きいほど,また,両イオン間の距離
(陽イオン半径と陰イオン半径の和)が小さいほど, 強く働く。
フッ化セシウム CSFとフッ化ナトリウム NaF の結晶では, 電荷の積の
,0.167 *
-Cs+
Na
K 0.167
し
√3x0.412
x0.167.
0.564
Cs+
y
√2×0.412
単位はnm
y
CI
Xx
0.167
CI¯
単位はnm
① 対角線の長さは,単
位格子の一辺の長さをα
とすると,次のように求
められる。
a
1
√2a
三平方の定理から,
1²=a²+(√2a)²
1= √3a
② 静電気力Fの大きさは
次式のようになる。
19₁x92
F=kx