(配点 50 )
(問1~6)に答えよ。
第2問 次の文章は『枕草子』の一節である。これを読んで、後の問い
(注2)
とのもづかさ
師走の十余日の程に、雪いみじう降りたるを、女官どもなどして、縁にいと多く置くを、「同じくは、庭にまことの山を作らせ
「らむ」とて、侍召して仰せ言にて言へば、集まりて作るに、主殿司の人にて、御きよめに参りたるなども、みな寄りて、 いと高
う作りなす。
「これいつまでありなむ」と、人々にのたまはするに、「十日はありなむ」「十余日はありなむ」など、ただこの頃のほどを、
むつき
あるかぎり申すに、「いかに」と問はせたまへば、「睦月の十余日までは侍りなむ」と申すを、御前にも、「えさはあらじ」と思
しつるかな。げにえしもや
し召したり。女房はすべて、「年のうち、つごもりまでもえあらじ」とのみ申すに、「あまり遠くも申
あらざらむ ついたちなどぞ言ふべかりける」と下には思へど、「はれさまでなくとも言ひそめてむことは」とて、かたうあ
一白山の観音、これを消えさせ給ふな」
らがひつ。二十日のほどに、雨降れど、消ゆべきやうもなし。 たけぞ少し劣
と祈るもものぐるほし。
さて、その山作りたる日、御使ひに式部丞忠隆参りたれば、褥さし出だして、物など言ふに、「今日、雪の山作らせ給はぬ所な
(注5)
つぼ
(注6)
むなき御前の壺にも作らせ給へり。 東宮にも弘徽殿にも作られたり。京極殿にも作らせ給へりけり」など言へば、
ここにのみめづらしと見る雪の山ところどころにふりにけるかな
と、かたはらなる人して”言はすれば、たびたびかたぶきて、「B返しはつかうまつりけがさし。 あざれたり。御簾の前にて、
「人にを語り侍らむ」とて立ちにき。歌いみじう好むと聞くものを、あやし。御前に聞こし召して、「ひいみじうよくとぞ思ひつら
む」とのたまはする。
(注)
主殿司の人――主殿寮の下級役人。
2 御きよめ――――この場合は除雪の掃除を指す。
3 白山の観音――加賀国白山の十一面観音。白山の雪は一年中消える時はないとされていた。
4 御前の壺
清涼殿の中庭。
5 弘徽殿—
清涼殿の北側にある建物。
6 京極殿―
藤原道長の邸。
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ごきでん
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