25 いのちは誰のものか?
平侖
わしだ きよかず
いのちは誰のものか?
鷲田清一
からだは誰のものか。いのちは誰のものか。
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安楽死の問題をめぐって、臓器移植をめぐって、人工中絶や出生前診断の是非をめぐ
って、このことがいつも問題になる。
そのとき、その問いはいつも個人の自由の問題と絡めて論じられる。個人が自由であ
るとは、個人がその存在、その行動のあり方を自らの意志で決定できる状態にあるとい
うことである。わたしの身体もわたしの生命もほかならぬこのわたしのものであって、
この身体を本人の同意なしに他から傷つけられたり、その活動を強制されたりすること
があってはならないというのは、「基本的人権」という理念の核にある考え方であると
いってよい。
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自殺の正当化にあたっても、献体の登録や臓器の提供にあたっても、その背景にある p
のは同じ論理である。生きて死ぬのはほかならぬこの自分であるから死に方は当人が決
めることができる、自分の身体は自分のものだからそれをどう処分しようと(美容整形
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安楽死 助かる見込み
のない病人を、本人の
希望に従って、医師が
苦痛の少ない方法で死
なせること。
2 出生前診断 妊婦の血
液検査などによって、
胎児の先天的な異常の
有無を調べる診断。
3 献体 教育・研究目的
の解剖のために、自分
の死後の体を大学など
に無償で提供すること。
是非理念