現代の多くの国家では, 国民が政治に参加する
民主政治の始まり
民主政治(デモクラシー)の形式がとられている。
紀元前5世紀頃に古代ギリシャのポリスで芽生えた民主政治は,その
democracy
ほう
後,近代社会が成立するまで姿を消した。ヨーロッパでは, 身分制の封
けん
かと
建社会を経て,近代社会への過渡期と位置づけられる16世紀頃からの絶
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対王政の時代においても,王権神授説が説かれ, 政治は国王など少数の
者に独占されて,民衆がかかわることはできなかった。
やがて,産業の発展にともない,市民階級(ブルジョワジー)が政治的
影響力を強めると, 国王との対立が深まった。イギリスやフランスなど
においては,彼らは, みずからの利益を主張するとともに, 政治的 経
済的な自由や権利を求めて国王と闘い, 17~18世紀には市民革命(ブル
ジョワ革命)を成しとげた。 これを経て, 君主主権に代わって, 国民主
権の考え方に基づく近代的な民主政治が広まることになったのである。