-
-
神経系と内分
アドバイス
イヌリンとクレアチニン
イヌリンは,主にキク科植物の根に含まれる
糖類である。 実験的に血液中に注射すると,糸
球体の血管からボーマンのうへろ過されるが,
細尿管と集合管ではほとんど再吸収されること
なく尿中に排出される。このことを利用し、尿
中のイヌリンの濃縮率を知ることによって,排
出される尿量をもとに糸球体からボーマンのう
へろ過される原尿量や再吸収される液量を知る
ことができる。 クレアチニンは筋肉からの老廃
物で、これも再吸収されにくい。
成分
血しょう
表中のイヌリン濃度は、人為的に静脈注射したときの
値である。 表中の [%] は,質量%濃度で示している。
原尿
尿
「タンパク質
7%
0%
0%
「グルコース
0.1%
0.1%
0%
Na+
0.32%
0.32%
0.35%
K+
0.02%
0.02%
0.15%
クレアチニン
0.001%
0.001%
0.075%
尿素
0.03%
0.03%
2%
イヌリン
0.01%
0.01%
1.2%
12012
資料学習
原尿の再吸収と老廃物の濃縮率
表cに見るように, 尿素やクレアチニンなどの尿中の濃度は、血しょう中の濃度より高
くなっている。 糸球体の血管からボーマンのうへのろ過は,圧力がかかって行われること
から,グルコース, 尿素, クレアチニン, 無機塩類などの小さい物質はそのままろ過され
る。このため,原尿におけるこれらの物質の濃度は,血しょう中とほぼ等しいと考えられ
る。その後,細尿管で再吸収が行われるが,老廃物の尿素などは再吸収されにくいため,
尿中へ出てくるものが多い。この際,水が細尿管と集合管で99%以上再吸収されるので,
再吸収されなかった物質は,血しょう中よりも尿中のほうが濃縮されることになる。
すべて再吸収されるから
(1) 尿中のタンパク質とグルコースの値は0である。 その理由をそれぞれ答えよ。
(2) Na+, K+, クレアチニン, イヌリンおよび尿素の濃縮率を計算せよ。
(3)100mLの尿がつくられるとき, イヌリンの濃縮率から考えて、ボーマンのうにろ過
された原尿は,何mLと推定されるか。 また, 再吸収された水は何mL か。
_4) (3)の条件のとき, 細尿管を通る間に血管に再吸収された尿素の質量は何gか。 ただし,
血しょう, 原尿、尿の1mLあたりの質量は1gとする。