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209>次の文章を読み,下の問いに答えよ。
遺伝性の肥満を示す系統 A. 系統Bの2種類のマウスがいる。どちらの系統のマウ
スも、正常なマウスに比べてえさの摂取量が非常に多く,このために肥満になる。「系
統Aのマウスでは,ホルモンXの遺伝子の塩基配列に異常があり,体内でXが生産さ
れない」、「系統Bのマウスにもホルモン Xの作用に関連した遺伝的な異常がある」こ
とがすでに明らかにされている。そこで,「ホルモン X」の生体内での作用を明らかに
するために,以下の実験を行った。
実験1 系統 A.系統Bおよび正常なマウスそれぞれ数匹より血液を採取し,血液を遠
心分離して血清を得た。得られた血清をそれぞれ「A血清」。「B血清」,「正常血清」
とした。
実験2「正常血清」を系統Aのマウスに毎日注射したところ,血清を注射していない
系統Aのマウスに比べて, えさの摂取量が明らかに減少し、体重の増加も抑制され
た。しかし、正常血清を系統Bのマウスに毎日注射しても,注射していないマウス
と比べて、変化は見られなかった。
実験3「B血清」を系統Aのマウスに毎日注射したところ,えさをほとんどとらなく
なり、やがてやせ細った。また,「B血清」を正常なマウスに毎日注射した場合にも,
やせ細った。
なお,実験1,実験2. 実験3にはそれぞれ異なる個体を用いた。また,実験に用い
たマウスは,系統 A, 系統Bにおける遺伝的な異常を除いたすべての点において,生
物学的に同等であると考えられる。
問1 ホルモンを説明する次の文章のア]~オ]に入る適語を答えよ。
ホルモンはア]中に直接分泌され,全身に運ばれるが,そのホルモンの イ]
をもっウ細胞にのみ作用する。生体の恒常性を維持するために, ホルモンの産生
量は厳密に調節されている。例えば甲状腺ホルモンの産生量は
甲状腺刺激ホルモン(TSH)により増加するが,甲状腺ホルモンの作用が不足すると脳
はそれを感知し、 TSH の産生を増加させ,結果として甲状腺ホルモンの産生量は増加
する。逆に甲状腺ホルモンの作用が過剰になると, TSH の産生は抑制され,結果とし
て甲状腺ホルモンの産生量は減少する。このような調節のしくみは オ]とよばれる。
問2 実験の結果より,「ホルモン X」 は生体内においてどのように働くと考えられる
か説明せよ。
エ
から分泌される
問3 下線部に示された異常とは,どのような異常であると考えられるか。問1 オ
の調節のしくみをふまえ,実験3でマウスがやせ細る理由も含めて説明せよ。
問4 正常なマウスおよび系統Bのマウスに, 実験2と同等の 「血清 A」 を毎日注射す
ると、どのような結果が得られると予想されるか。それぞれのマウスに対する結果を,
理由とともに説明せよ。
5系統Aのマウスで, 「ホルモン X」 が産生できなくなるしくみについて, 考えら
れることを述べよ。
(13 お茶の水女子大改)