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(2002 岐阜大・改)
③ 下記の問いに答えよ。 数値については有効数字3桁とする。
断熱容器の中の質量 m1 〔g〕, 温度 T1 [K] の水に, 質量 m2 〔g〕, 温度 T2 [K] の水を加えてかくはんし
放置したところ、 温度が T〔K〕 となった。このとき水の比熱を4.19J/(g・K)とすると, 熱量が不変ということか
ら,アという関係が成立する。 この関係は水について成立するが, 水以外の物質との間では成立しな
い。 そこで,水以外の物質については,以下の式で定義される量 (換算水量と呼ぼう)を考える。
換算水量 〔g〕=
水の比熱[J/(g・K)〕
銅製容器へ
たとえば,比熱 0.390J/(g・K) の銅41.9g の換算水量は3.90g である。 この換算水量の考えを用いる
と, 換算水量 M 〔g〕, 温度 Ti [K] の物質と, 換算水量 M2 〔g〕, 温度 T2 [K] の物質を接触させて放置し,
平衡温度 T〔K〕に達したとすると, 熱量が保存されていれば, イという関係が成立する。
換算水量の考えを用いて固体の比熱を測定する方法がある。
図はその装置(熱量計)を示す。外部との熱の出入りを断ち切る
断熱槽の内部に水を入れた銅製容器が置かれている。 容器中
の水の温度を測るため, 水銀温度計が図のように取り付けられて
いる。まず,比熱 c[J/(g・K)] の試料(質量m[g])を, 温度 73 〔K〕
に一様に加熱して, 断熱槽中の温度 T [K] の水(質量m[g])を
入れた銅製容器の中に投入する。 その後ふたを閉じ、 水をかく
はんして放置した結果, 平衡温度 to 〔K〕になったとする。このと
き、試料の失った熱量はウ[J] である。 この失った熱量は, 銅
製容器中の水、銅製容器, 銅製かくはん棒および水銀温度計の水没部分の得た熱量に等しい。 ここで、
銅製容器, 銅製かくはん棒, 水銀温度計の水没部分を合わせた換算水量をw〔g〕と表すと, 得た熱量の
総計はエ[J] である。 そこで, 失った熱量と得た熱量との関係から、比熱 c [J/(g・K)] は,
熱量計
オ [J/(g・K)] として求まる。
熱量計の換算水量 w〔g〕 は, 関与する物質の比熱と質量とから求められるが、 次のように実験的に求
めることもできる。 熱量計の銅製容器に質量 ms〔g〕, 温度 Ts [K] の水を入れておく。 この中に温度
T〔K〕(>Ts〔K〕), 質量m[g] の水を加えてかくはんし、全体が温度 [K]となったとする。 このとき, 加え
られた水によって熱量計に与えられた熱量はカ[J] であり, 銅製容器中にはじめにある水と熱量計と
が受けた熱量は、換算水量w [g] を使うとキ [J]で表せる。両者は等しいので, w=[g] として求
まる。
物質の比熱[J/(g・K)〕
-×物質の質量 〔g〕
水銀温度計
ふた
断熱槽
銅製かくはん棒
試料
具体的に鉄の試料の比熱を求めてみる。 熱量計の換算水量が計算の結果 9.00g となった場合, 164g
の水を入れた熱量計(水温 15.7°C)に 98.4℃に加熱した試料(質量 41.9g)を投入し、ふたを閉じてかくは
んしたところ水の温度は17.8℃に上昇した。
(1) ア~クに適当な式をあてはめよ。
(2) 鉄の比熱 cを求めよ。