Lecture 行列の積の計算における注意点
正方行列の積 AA, AAA などを簡単に A', A' と表す。このように,一般に正方行列A の
n個の積をA" と書き, Aの乗という。
上の例題における計算の注意点は,次のようになる。
(1) 行列の式の展開では 結合法則 (AB) CA (BC)
分配法則 A(B+C)=AB+AC, (A+B)C=AC+BC
だけを用いて変形する(交換法則は一般には成り立たない)。
(2)AとEだけの式では AE=EA =A である (交換法則が成り立つ)から、普通の数式
のように計算できる。 ただし, nが自然数のとき, AE" は A, E" AもA, E”はんと
おき換えられることに注意しよう。 このことから, (2) は次のように計算できる。
(A-2E)2-A2-2A(2E)+4E²=A²-4A+4E
← (a - b)²=a²-2ab+b²
すなわち, (2) の結果を A'-4AE +4E2 とせずに A2-4A+4E とするのである。
なお,これを A4A+4 のように E を書き落とすと誤りである。
17 A, B は同じ次数の正方行列, E は A,Bと同じ次数の単位行列とする。
次の計算をせよ。
(1) (A+B) 2-(A-B)²
(2)(2A+3E)(A-E)