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すががさにつき
『菅笠日記』 〈下巻〉
文法詳解図
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は筆者の発言
は法師の発言 太字は願望の助動詞
↓2から
名格名格名 定格助
名格体 名体名格助
名
名
断定・体
名 格助名格助
格助
さて里の神の社なりとて、
森のある続きなる所に、
さて、
里の神社であるということで、
森の とある続きの所に、
高さ二丈ばかりなる、
高さが 二丈ぐらいの、
十三重の石の塔
連体形の終止形化。
ク・体格助夕四命(巳)存校・体
名 格上一巳接助
十三重の石塔で、
名格名 下二
の、いと古きが立てる。めぐりを見れば、いと大きなる石ずゑありて、塔などの跡と見ゆ。
ナリ体
名
たいそう古いのが 立っている。
周囲を
見ると、
たいそう大きな礎石が
あって、
などの跡と
見うけられる。
1から
人に
[石が
・体 名
名格名 格
名格名 ワ下二・未意志・終格助
置こうとして、
体名 四・未使役・用完了・已接助
リ
近きころ、この石をおのが庭に据ゑんとて、ある者の掘らせつれど、あまりに大きにて、
近ごろ、
この石を
自分の庭に
ある者が(人に)掘らせたけれど、
(石が)あまりに大きくて、
人々は
※連体形の終止形化。←ある者が
下二 接 四完了体
・用 サ四・用 接助ナ変用過去・体係助
断定助補う変・用詠・終格助係
り結び
終
掘りかねてやみぬる。 ほどもなく病み臥して死にけるは、このたたりにてありけりとなん言ふ
掘ることができないでそのままになってしまった。(ある者が間もなく病の床について死んだのは、このたたりであったのだなあと
(人々は)言って
(強意)
連体形の終止形化。
3から
伝・体
名格名 格
ナリ体
名格助変体
名 格助名格助 名名格名 ナ下二・過去・已接助
名
5
なる。
その前にかりそめなる庵のある。 あるじの法師に、この塔のことたづねしかば、宣化天皇
いるそうである。 その前に
間に合わせの庵が
ある。
その庵の主人の法師に、
この塔のことを
尋ねたところ、
「宣化天皇の
伽藍が
格名 格 名格名 夕下二・未受身用接助
シク体
名 格助変用完了・体接助
カ下二完了用過去・体名 断定・終
名格助 名
の都の跡に寺 たてられて、いみじき伽藍のありつるが、
都の跡に
寺が建立されて、
立派な伽藍が
焼けたりし跡なり。このあたり
あったのだが、その伽藍が焼失してしまった跡である。
このあたりに
(尾)
法師が
格助名格助 名
名係助 四接ク・ラ変・終格助
その瓦ども、今も欠け残りて多くありと
八下二体格助力四・接助マ上一已接助
名格名格名格助係助
教ふるにつきて見れば、げにこの庵の前にも、
道道名
その耳の数々が、
今も欠けた状態で残ってたくさんある。」と(法師が教えるのにしたがって 見ると、
なるほどこの庵の前にも、
格名格助係助
格助カ下二・用存説・体
名四・未打消・用
名格四川 接助う変・体格助
のほとりにも、すべて古瓦の欠けたる、数も知らず、
土にまじりであるを、一つ二つ拾び取り
のそばにも、
総じて 古瓦で 欠けているのが、
無数に、
土に混じって
あり、それを 一つ 二つ 拾い取って
接助々上一巳接助
名 係助 名四用接助
名格名格助 ヤ下二用完了 終
名格助名係助
名名
て見れ ば、いづれも 布目などつきて、古代のものと見えたり。
この庵は、やがてかの伽藍
見ると、
どれも
布目などが ついて、
古代のものと
思われた。
このは、
ほかならぬ 例の伽藍の
文末用法(強調)
格名格助四・已接助
聞き手敬意の謙譲語。←
筆者→法師
名名格助サ四・体格助 四
nの名残といへば、そも今は何寺と申すぞと問へば、
―法師は
4から
名
助八四体名 八下二・終
名係助
名残というので、
だうくわうじといふよし答ふ。
「いったい今は何寺と申すのですか。」と尋ねると、(法師は)「どうこうじ」という旨を
文字は
答える。
「文字は
疑問詞の連体形〉
筆者→法師)
(順)
カ四用補う変・体格助八四・已接助
名名名 ラ四・用 接助
名
名カ四・酒・已助
名
いかに書き侍るとまた問へば、この法師頭うち振りて、なにがしもの書かねば、その文字まで
どのように書きますか。」と 再び尋ねると、 この法師は 頭を振って、
筆者
係助四用・未・終格助八四体接
八四・未
望・体
名
「私は
名
ものを書きませんので、
その文字までは
マ下二・
完了体名 サ変用接助 八四・未打酒・
は知り侍らずと言ふにぞ、なほ(問は)まほしきことも、ゆかしささめつる心地して、問はず
知りません。」と
もっと尋ねたいこともあったのだが)、
言うので、
知りたい気持ちがさめてしまった感じがして、 尋ねないままに
破格表現。本来なら、係助詞「ぞ」があるので「ぬる」となるべきところ。
四用完了・終 名格動四・体名 格 名格名 調助ラ四・未打酒・体名 助
なりぬ。
なってしまった。 自分が住む寺の
名格助保助 ラ変体名 断定・用詠・終
わが住む寺の名の文字だに知らぬ法師も、世にはあるものなりけり。
名前の文字さえ
知らない法師も、
世の中にはいるものであるなあ。
1名