| 次の文章を読んで、後の問いに答えなさい。
「ミッキーマウス」や「鉄腕アトム」の例を引くまでもなく、20世紀はアニメーションの世紀といっていいほど素晴らしい作品をたくさん生み出しました。
いまや2世紀も5分の1が過ぎてしまったわけですが、20世紀に生み出された作品が、その生命力を立ショウするようにさらに新しい作品を生み出すという
かたちで、21世紀のアニメーションもまたたいへんなイキオいで発展しています。いわば、アニメーションはその進化という言葉を気楽に使ってはいけ
ないのですが――のさなかにあって、誰もがそれを目撃しているようなものなのです。
その背後には
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コンピュータの一般的な普及にともなう情報技術革命(IT革命)があります。 わずか半世紀前には思いもよらなかったかた
ちで、アニメを含む映像表現がほとんど全世界の人々にとってたいへん身近なものになりました。世界は広いけれども、広いままで狭くなりました。 コン
ピュータは、ご存じのようにアニメーションの制作に大きな変化をもたらしましたが、そしてそのことについても具体的にクワしく学ぶ必要があるのですが、
とはいえ、制作においてだけではなくおそらくそれ以上に、享受のかたちにおいて大きな変化をもたらしています。
20世紀末に爆発的なかたちでおきたパーソナル・コンピュータの普及、インターネットの一般化、いわゆるソーシャル・メディアの浸透は、人類の文化、
とりわけ文学や芸術などの表現活動の基盤を根ティから変えました。
変えた結果がいまや少しずつ目に見えるかたちで現れていますが、
現状はせいぜい現実の変化を認めつつあるといったところで、それがどれ
ほど深い意味を持つのか、これから人間の文化や芸術すなわち人間の表現行為がどんなふうに変わってゆくのか、いまなお本格的なかたちで論じられている
とは私には思えません。
びょうぶ
だいたい建築や絵巻物や屏風、舞踊や音楽といったものを、同じ芸術という名称のもとに論じるようになったこと自体が、 つい最近のことなのです。 芸術
史という考え方が登場したのも、
つい最近のことなのです。つい最近とはいっても西洋では二、三百年は経
わけで、それなりに芸術大学も出来れば芸術研究所も出来るし、有り難がられもしている。
つ、日本だって百五十年くらいは経つ
きな変動のもとにある。そしてその変動の中心になっているのが舞踊や音楽といったパフォーミング・アーツと、ほかならぬアニメーションなのではないか
もともと変化しやすいものですから、いま再び大
と、私は考えています。対にしていえば、前者は
し、後者は
する芸術。
ダンスは生身の身体表現、アニメはその正反対。二つは両極端ですが、ところがIT革命の恩ケイをもろに受けているということでは一緒なのです。ダン
スはこれから YouTube のようなソーシャル・メディアのおかげで大きく飛躍すると思いますが、そういうことではしかし、アニメーションの飛躍にはかな
わないでしょう。 コンピュータはまさにアニメのために出来たようなものですから。
(三浦雅士「スタジオジブリの想像力」による)
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