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ステップ2 30
31 ステップ2 随想
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er
随想
|の
ii
ii
30
速読
目標時間
3分
問一~七
解答目標
15分
*本文
/50
要約
/10
40
ステップ2
たかはしげんよう
読解)人にとって「道」とは何か
失われた「道」の豊かさ 高橋玄洋
課題)話題に対する筆者の思い
(型一)
かなた
子どものころ、「道」には手前からはるか彼方へ延びているイメージがあった。最近は上空から見下ろすものに
(州N)。
1上空から見下ろすもの||テレビの
ニュースで流れる、高速道路の映
像をふまえての表現
2蟻の列||夏の季語として使われる。
3路地 家と家の間の狭い通路。
4辻説法や辻商い|道端で通行人に
対して行う説法や商売のこと
5傾然 恐ろしさにぞっとする様子。
変わったらしい。緩やかなカープを描く高速道路を、車をつけた箱の列が流れていく。以前、蟻の列という表現
があったが、近ごろの都会生活では蟻の姿はほとんど見なくなった。蟻は口にくわえて運んだが、車の流れを見
o
ていると、物の移動に人が使われている気がしてくるのは私だけの僻みだろうか
幼時、父のキョウリ瀬戸内へ連れて行かれ、海にも道があることを発見した日のことは今でもハッキリ覚えて 5
いる。島のイタダキへ登ったら、広い海面に一筋色の違う潮の帯が走り、その上を船は小気味よい速さで進んで
いた。逆行する船は道を外れて遅々として進まない。帰って父に報告したら「海にだって道はあるさ。」と簡単に
片づけられたが、剣道だったか柔道だったか「人の道」についての話を聞かされた。今思い出しても、あの海の道
(要旨をつかむために
理解を深めよう
要約のための確認
は生きていたと思う。「道」が舗装され、物を運ぶだけの道具になって、道はある意味で死んだのかもしれない。
人が使う道から物に奉仕する道に変わったのだ。子どものころ、道の彼方に思い描いていたあの夢はどこへ行っ0
たのだろうと、短歌や俳句の雑誌をめくってみると、現代の「道」はほとんど出てこないのを知った。考えてみれ
ば、道端に積み上げられた山のゴミ袋越しに四季の空を味わうのは至難の業だろう。十年ほど前、山腹を断ち割
るような道路建設がやたらと目立った。海岸に全国同じようなコンクリートの道が走り、防潮堤で視界がさえぎ
O
【各1点】
話題
「道…
から見下ろす
(イメージの変化)
筆者の気づき
られたのも同じころだったろうか。気がつくと、寄せては返す砂浜は消波ブロックに代わってもいた。津々浦々
あれだけあった砂浜は一体どこへ消えてしまったのだろう。道が整備されて経済は発展し生活は大いに豊かになっ6
たが、その分、人は心の豊かさを失ったのではなかろうか。
の移動に人が使われる
→奉仕する道
(注3)
一口に「道」と言ってもいろいろあり大動脈もあれば毛細血管もある。毛細血管の道は、昔「路地」と言って、人
の豊かさを失った
(型寸)
と人が最初に出会う社会の第一歩だった。その道と道とが交わるところを辻と言い、辻説法や辻商いなど自然に
人が集まって西洋の広場の役割を果たしてきた。今の都会では交差点と言って車の渋滞するところでしかなく
道の使い方を忘れた
〇筆者の所感
景観など気にとめない
物の運び屋(運ぶふだけ)
みそ
J4s 会
なった。何より広場と点の差は大きい。路地を挟んで隣や向かいの家があり、味噌や醤油が行き交い、物とともに0
挨拶や人情も行き交った。おしゃべりおばさんが駄菓子を抱えてやってきては半日話し込んでいくこともあった。
の.
→自分に
とする
最近、ライホウ者が皆無の家庭が多くなり、そうした家庭に育った子どもに友だちづきあいがまったくできない
子が多いことも指摘されている。狭い巣箱の中で両親としか接点を持たなかった子どもたちが突然幼稚園などの
(河2 まとめてみよう
要約に向けて一
集団に放り込まれれば、他人との「間」の取り方にとまどうのも無理からぬことだろう。現代の病巣はこうした地
域社会の喪失と無関係ではない。地域社会の第一歩が家の前の路地である。その道の使い方をわれわれは忘れて 5
しまった。そして家の狭さを嘆いている。
所感を四十字以内で書こう。【6点】
最近、路上で突然しゃべり出す人に驚かされることがある。例の携帯電話という奴だ。傍らで一方的な会話を
聞かされる不快さに「道」の不毛さを感じるのは私だけではあるまい。そういう私自身、近所のコンビニエンスか
(注5)りつぜん
らの帰りなど、景色など気にとめず物の運び屋にすぎなくなっている自分を発見して標然とすることがある。あ
のとき私ははたして人間だろうか。
ガイド-
現在の「道」のあり方を見た、筆者の考えが述べられた部分に線を引き、その想いを読み取ろう→問四を攻略
問一(漢字)傍線部の~③について、カタカナは漢字で、漢
字はその読みをひらがなで書け。
問五 (文脈) 傍線部@「辻」とQ「交差点」について説明した、次の一文の空欄を補うのに適
切な語句を、iとiは五字程度、面は十六字でそれぞれ抜き出して書け。
【各3点]
0交差点は単に一i 場所であるのに対し、人の集まる辻は、物だけでなく「i=
]として機能していた。
【各3点]
往来する広場の役目を果たし、辻へとつながる道は一
問ニ(語句)波線部A「至難の業」の意味を、簡潔に書け。【4点】
問六心読解) 傍線部@とあるが、筆者は自身をどのような存在だと感じて、このように嘆
いているのか。四十字以内で具体的に書け。
【o)
問三 (表現)傍線部○について、筆者は、「蟻の姿」にどのよ
うなことを重ねて表現しているのか。最も適切なものを、
次から選べ。
E 自らの意志で物を運ぶこと。
【5)
E 物の移動に使われること。
D 上空から見下ろされること。
列をなして進んでいくこと。
E はるか彼方をめざして進むこと。
問七 (構成) 本文の特徴を説明したものとして、最も適切なものを、次から選べ。【6点】
B 道の整備が人に与えた影響を分析し、道の理想的なありようを訴えている。
E かつてと今の道の違いを考察し、現代における問題点を浮き彫りにしている。
道が変容した原因を探り、現代社会が抱える問題への解決策を提示している。
I身近な体験から道について考察を深め、生活における道の重要性を説いている。
E現代の道に関する人々の見解にもとづき、人と道の関係を議論している。
問四Q課題)傍線部@について、「あの海の道は生きていた」
と言えるのはなぜか。二十字以内で書け。
【o)
LG
KP