書き下し
カン
ブ テイ
ニュウ
そ
漢の武帝の乳母嘗て外に於て事を犯す。帝憲を申べんと欲し、乳母救
トウホウサク
もと
あら
なんちかなら
ひを東方朔に求む。 朝曰く、「此れ唇舌の争ふ所に非ず。爾必ず済はれ
のぞ
た
まさ しばしばテイ
かへり
んことを望まば、将に去らんとする時、但だ当に屢帝を顧みるべし。慎
んで言ふことかれ。此れは万一に翼ふべきのみ」と。乳母既に至る。
サク
#76
ま
も亦た側に侍し、因て謂ひて曰く、「汝痴なるのみ。帝豊に復た汝乳
ホ
オン
おも
テイサイユウこころニン
ま
ふか ジョウレン あ
哺の時の恩を憶はんや」と。帝才雄心忍と雖も、亦た深く情恋有り。乃
セイゼン
これ
あは
すなは
みことり
つみ
ち凄然として之を恐れみ、即ち勅して罪を免ず。
とき
まさ さ
とき
いへど