-
184 第3編 生物の環境応答
思考判断
155. ジベレリンの働き■植物の成長を調節する植物ホルモンのジベレリンは,一般に茎
葉部の成長を促進する。ここでは,以下の3つのイネの突然変異体 A~Cを考える。
[突然変異体A] ジベレリンを合成できずに,わい性(背丈が低い性質のこと)を示す。
[突然変異体B] ジベレリンの合成は正常だが,ジベレリンにまったく反応できずに、わ
い性を示す。 見かけ上、 突然変異体Aと類似している。
[突然変異体C] ジベレリンを外部から与え続けた場合と類似し、草丈が異常に高い。ジ
ベレリンの合成を阻害する薬剤を投与しても影響はなく、草丈は高いままである。また。
当変異体のジベレリン含量は野生型とほぼ同じである。
問1. 突然変異体A~Cに種々の濃度のジベレリンを投与すると,それぞれどのように反
応するか。 図1の① ~ ⑤から1つずつ選べ。 なお,図は野生型(点線) と変異体 (実線)の
草丈の反応曲線
草丈 ( 相対値)
野生型
ジベレリン濃度
(相対値)
低
また, ジベレリンは高濃度でも成長の抑制作用を示さない。
の比較を示す。
「野生型
ジベレリン濃度 ジベレリン濃度
(相対値)
(相対値)
高
高 低
「野生型
低
高
胚乳
野生型
ー ④
ジベレリン濃度
(相対値)
低
ヨウ素
溶液
胚つき半種子
(野生型)
D D
図 1
問2. 野生型のイネの種子を 図2 (i)の破線で示すように,胚のついた部分(胚つき半種子)
と胚のついていない部分(胚なし半種子)に切り分ける。 (i) のように, ヨウ素溶液を加え
たデンプンを含む寒天層を入れたペトリ皿にそれぞれ置くと, 胚つき半種子のまわりで
はデンプンが分解され(図では, 白抜きで示してある),胚なし半種子のまわりでは分解
されなかった(ヨウ素デンプン反応
(ii)
による青紫色を斜線で示してある)。 (i)
次の(あ)~(か)の6種類の半種子を (血)に胚
示す位置に置いた場合、 寒天層の青
紫色がどのようなパターンを示すか,
(iv)の例にならって図示せよ。 また, 糊粉層
いずれの突然変異体においても, 変
異の影響は種子を含むすべての器官
において認められるものとする。
(あ) 突然変異体Aの胚なし半種子
(う) 突然変異体Bの胚なし半種子
図2
(い) 突然変異体Aの胚つき半種子
(え) 突然変異体Bの胚つき半種子
(お) 突然変異体Cの胚なし半種子
(カ) 突然変異体Cの胚つき半種子
3. 寒天層にある濃度のジベレリンを加えたところ, 野生型の胚なし半種子においても
アミラーゼの分泌が観察された。これと同じ濃度のジベレリン入りの寒天層上で,問2
の (あ)~(か)の半種子を用いた実験を同様に行うと,寒天層の青紫色はどのようなパターン
を示すか。 問2と同様に図示せよ。
(13. 東北大改題)
ヨウ素
溶液
高
胚なし半種子
(野生型)
野生型
ジベレリン濃度
(相対値)
低
DOD
ODO
(う)
(iv) (い)
R
1000
in
元
<解答例〉