25>細胞内のタンパク質輸送に関する次の文章を読み,下の問いに答えよ。
細胞の中には細胞小器官として小胞体やゴルジ体が存在し, これらが細胞内のタンバ
ク質輸送に関与することが知られている。タンパク質が小胞体やゴルジ体の間でとのよ
うに輸送されるかを知るため,GFP(green fluorescent protein : 緑色蛍光タンパク質)
を用いて、細胞の表面に分布し細胞膜を貫通するタンパク質(膜貫通タンパク質)Xにっ
いて,以下のような実験を行った。このタンパク質Xは温度によって構造が変わり, 異
なる細胞小器官に蓄積することが知られている。
実験 膜貫通タンパク質Xと GFP の融合タンパク質(X-GFP)の遺伝子を培養細胞に
入して40℃で約 12時間培養し, X-GFP を細胞に合成させた後,以下の処理をした
A群の細胞:引き続き 40℃ で2時間培養した。
B群の細胞:32℃で2時間培養した。
C群の細胞:温度を急激に20℃ にして20℃のまま2時間培養した。
なお,温度を40℃ から 32℃ や 20℃に変化させてからは, タンパク質合成はないも
のとし,細胞死は起こらないものとする。
結果 X-GFP の蛍光の2時間後の分布は以下のようになった。
A群の細胞:小胞体のみに分布した。
B群の細胞:おもに細胞膜に分布した。
C群の細胞:おもにゴルジ体に分布した。
小胞体は膜貫通タンパク質の合成の場所として重要なことが知られており, ゴルジ体
の役割はタンパク質の修飾や濃縮であることが知られている。 そして, 小胞体とゴルジ
体の間や,ゴルジ体と細胞膜の間では小胞でタンパク質の輸送が行われていることが知
られている。そこで, X-GFP が細胞内でどのように輸送されるかを知るために, 細胞
内の分布の時間経過を観察した。 結果は以下のようであった。
A群の細胞:観察開始から2時間に渡り X-GFP の蛍光は細胞質全体に網目状に観察
された。
B群の細胞:40℃ から 32℃に変化させてから 30分までは, X-GFp の蛍光は網目状
に観察され,その網目状の構造物の近くで小さな球状となり,それが細胞の周辺部
から細胞の中心に向けてすばやく輸送され, 核近傍務に集積した。その後, X-GFP
の蛍光がやや大きい細長い構造物として, 核近傍に集積した場所から辺縁部に移動
し、細胞の辺縁部の蛍光が増強することがわかった。
C群の細胞:核近傍にX-GFP の蛍光が集積していた。
(1) 観察されたX-GFP の細胞内での動きについて, 次の文中の(ア)~(ウ)に入る適語を答
えよ。また,40℃から32℃にしてから 30分までと, 30分から2時間までの間では、
各々,どの細胞小器官からどの細胞小器官への動きをおもに観察することができるか。
(エ)~(キ)に入る適語を答えよ。