コ
生物
B
自然免疫の重要な役割の一つが、適応免疫 (獲得免疫) への橋渡しである。 樹状
細胞は、取り込んだ異物やがん抗原などの断片を, MHC (主要組織適合性複合体)
分子にのせてT細胞に提示する。 抗原特異的な適応免疫は、この抗原提示から
はじまる。
もともと自己の細胞であるがん細胞は, 遺伝子が変異することで出現する。 が
ん細胞が死ぬと、 その細胞は変異によって生じた遺伝子産物を放出する。 樹状細
胞はそれを異物として取り込み, がん抗原として MHC 分子上にその断片をのせ、
T細胞に提示する。 T細胞は, MHC 分子の上に提示されたがん抗原を, TCR (T
細胞受容体)を介して認識して活性化し、 がん組織に向かって移動する。 がん細
胞は,MHC 分子の上に自身のがん抗原の断片を提示しており, 活性化したT
細胞は、TCR を介してそれを認識して(図4)。がん細胞を直接攻撃・排除する。
しかし、がん細胞には免疫を回避するしくみをもつものがある。PD-L1 は,さ
(d
まざまな細胞の細胞膜に発現
する膜タンパク質であるが,
部のがん細胞にも現れる。 T
細胞の細胞膜に発現する PD-1
が,がん細胞の PD-L1 と結合
すると, T細胞の活性化が抑制
され、がん細胞が免疫を回避
する。
がん抗原
TCR
MHC 分子
PD-1 PD-L1
2
がん細胞
活性化したT細胞
回避
図4 活性化したT細胞とがん細胞
問4 下線部(d)のT細胞は,ウイルスなどに感染した細胞を攻撃する細胞でも
ある。このT細胞の名称とその免疫反応の組合せとして最も適当なものを
次の①~④のうちから一つ選べ。 9
②
T細胞の名称
キラーT細胞
キラーT細胞
ヘルパーT細胞
免疫反応
体液性免疫
細胞性免疫
体液性免疫
ヘルパーT細胞
細胞性免疫
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