問8-3
右ページの図のように,長さlの糸に質量mの物体を結び、最下点で初速度を
与えた。 以下の問いに答えよ。
(1)糸が鉛直方向となす角度が0のときの糸の張力Sを求めよ。
(2) 物体が1回転するために必要なvo に関する条件を求めよ。
この問題では,物体の高さが変わるため, 物体の速さも変化します。
つまり、この問題における円運動は,等速円運動ではないのです。
等速でない円運動の場合でも基本的な考えかたは等速円運動のときと同じですよ。
(1) は「円の中心方向の力のつり合いを考えて, S=mgcose」としてはダメです。
物体は静止していない、つまり,円運動をしています。
円運動をしているということは,中心方向に加速度が生じていますよね。
加速度が生じているということは,力のつり合いではなく,
運動方程式を立てて考えなければならないということです。
<解きかた (1) 向心力は、張力Sと, 重力の中心方向成分である-mgcoseとの和
S-mgcos
円運動の半径はlなので、運動方程式F=maにあてはめると
v2
S-mgcosQ=m ………①
F
a
献により、
また、物体は最下点から高さl (1-cose) の位置にあるので
力学的エネルギー保存則より
1
mvo=mgl(1-cose) +
-mv²
2
位置エネルギー
運動エネルギー
最初の運動エネルギー
・③ 問題文にない』を消去
Onie?
②より,v=vo2-2gl (1-cos)
①③ を代入して整理すると, 求めるSの値は
2
S=
mvo
l
+ mg (3cos 0-2)
答
......④
ちょっと難しく感じたかもしれませんが使ったのは運動方程式 (①式) と,
(①式)と、
力学的エネルギー保存則 (②式)の2つで、 ①式が円運動になったというだけです。
「円運動でも使う道具は今までと同じ」と考えておけば怖くはないですよ。