のこ
あて
世界の男、貴なるも賤しきも、いかでこのかぐや姫
身分の高い者も低い者も、何とかして
を得てしがな、見てしがなと、音に聞きめでてまどふ。
手に入れたい 結婚したいと 噂に
慕って思い乱れる。
そのあたりの垣にも、家のとにも、 をる人だにたはや
の門の所にも、家の人でさえ たやすく
すく見るまじきものを、夜は安きいも寝ず、闇の夜に
見ることができそうにない
は安眠もせず、
出でて、穴をくじり、かいばみ まどひあへり。さる
(垣に) 穴をあけのぞき見して
よりなむ、よばひとは言ひける。
(これを)「よばひ(求婚)」と言った。
人のものともせぬ所にまどひ ありけども、なにの験
思い乱れ歩き回るけれども、
問題にもしない
あるべくも見えず。 家の人どもにもの言はむとて、言
あるようにも見えない。
何か言おうと思って、言葉
ひかかれどもことともせず。あたりを離れぬ君達、夜
近辺を離れない貴公子たちはそこで)
をかけるけれども
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