62
力学
[解説]
直線上の衝突では反発係数 (はね返り係数) e (0≦e≦1) の式が成り立つ。 いろ
いろな書き方があり、自分なりの覚え方をしていればよい。 本書では次の形式で
いこう。
衝突後の速度差=-ex (前の速度差)
注意すべきは,速度の差であって,速さの差ではないという点だ。 つまり、
正・負を考えて代入しなければならない(差をとるときの物体の順番は両辺で合わ
せる)。そこで衝突後の“速度”を未知数とする。上式の左辺は素直に書けるし,
運動量保存則そのものが速さでなく,速度の式だからだ。速度はもちろん地面に
対する速度。1,2を連立させて解けば,答えの速度の符号が運動の向きを教
えてくれる。
EX1 静止している質量MのQに質量mのPが速
ひで衝突した。 その後のP, Q の速度 UP, UQ
(右向きを正) を求めよ。 また, Pがはね返る条件
を求めよ。 反発係数をeとする。
P
Vo
m
M
解 運動量保存則より mvp+Mv=mvo
①
eの式より
Up-VQ=-e(vo-0)2
衝突後
UP
VQ
① +M×② と v を消去し
(m+M)up= (m-eM)v
m-eM
Up =
Vo
m+M
①-mx② より
(m+M)vg=(1+emvo
・③
③ 図示するときは,分か
りやすく正としておく
(1+e)m
VQ=
Vo
・④
m+M
Up<0だと
Pがはね返るためには, up < 0 となればよい。 よってm<eM
一方, は無条件に正だから, Qは右へ動く当たり前だね。
左の方へ
Vp 運動
ちょっと一言 運動量保存則を“後=前”のように書いておくと,このように辺々
で速く計算できる。 ちょっとしたテクニック。
こんな問題ではPが受けた力積がよく問われる。「力積=運動量
の変化」 より mu-mv として求めてもよいが、 作用・反作用を利
用し,Qの運動量変化 Mv0 にマイナスをつけた方が簡単だ。