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(R製
みつね
いり
醍醐天皇、貫之·郭恒の歌を召す
古今抄せられし折、貫之はさらなり、忠琴や努恒などは、御書所に召さ
『古今和飲震-を集なさった時
※)JHJ
*ただみね
リ
れてさぶらひけるほどに、四月二日なりしかば、まだ忍音のころにて、い
(便菌王量に)お仕えしたころ
*しのびね
みじく興じおはします。貫之召し出でて、歌つかうまつらしめたまへり。
歌をお詠ませ
A こと夏はいかが鳴きけむほとときすこの宵ばかりあゃしきぞなき
これまでの夏ぼどのようにいていたのだろうか
今夜ぼど不思議に思われることはない
それをだに、けやけきことに思ひたまへしに、同じ御時、御遊びありし夜、
同じ天皇の御代で、管粒のお遊び
D2ていること
C
おま(
御前の御階のもとに射恒を召して、「月を弓張といふ心はなにの心ぞ。こ
れがよしつかうまつれ」と仰せ言ありしかば、
B 照る月を弓張としも言ふことは山辺をさしていればなりけり
いつも山の辺りをさして(矢を射るように)入るからです
D
*おほうち
と申したるを、いみじう感ぜさせたまひて、大桂たまひて、肩にうちかく
るままに
しらくも
c 白雲のこのかたにしもおりゐるは天つ風こそ吹きてきぬらし
自賢がわたしの肩に降りているのは天の風が吹きつけているからでしょう
あま
いみじかりしものかな。さばかりの者に、近う召しよせて勅禄たまはすべ
ぎことならねど、そしり申す人のなきも、君の重くおはしまし、また努恒」
ご褒美を
が和歌の道にゆるされたるとこそ、思ひたまへしか。
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w
認められている
買之·忠劣·射恒,…『古今和歌集』」を編集した紀貫之、壬生患率、凡河内易恒。
*御書所…書籍の管理所。 #忍音…ほととぎすの四月の鳴き声。通常五月に鳴くとされた。
弓張…半月。張った弓と形が似ているとされた。
きのつもゆき
おおしこうちの みつね
*大桂…祝儀として与えられる衣服。