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たちはき
第8問
次の文章は、ある不遇な姫君の所へ少将道頼が通ってきた箇所を叙している。なお、本文中に出る帯刀は少将の従者
であり、あこきは姫君に仕える侍女で、帯刀とは恋仲であった。この時、帯刀は既にあこきの所に来ていた。読んで、
後の設問に答えよ。
女君、人なき折にて、琴いとをかしうなつかしう弾き臥し給へり。帯刀をかしと聞きて、「かかるわざし給ひけるは」
と言へば、「さかし。故上の六歳におはせし時より教え奉りへるぞ」と言ふ程に、少将、いと忍びておはしにけり。
人を入れ給ひて、「聞ゆべきことありてなむ。たち出で給へ」と言はすれば、 帯刀、心得て、おはしにけると思ひて、
心あわただしくて、只今対面すとて出でて往ぬれば、あこき、御前に参りぬ。
へば、ひも、「いと弱く
少将、「いかにかかる雨に来たるを、いたづらに帰すな」と宣へば、帯刀、「まづ御消息たまはせて。 音なくてもお
はましにけるかな。1人の御心も知らず。いとかたきことにぞ侍る」と申せば、少将、「いといたくな直だちそ」とて、
とと打ち給へば、「さはれ、降りさせ給へ」とて、もろともに入り給ふ。 御車は、「まだ暗きに来」 とて帰しつ。
ど
ものいみ
わが曹司の遺戸口にしばしゐて、あるべき事を聞ゆ。人少ななる折なれば、心やすしとて、「まづ垣間見をせさせよ」
と宣へば、「しばし。 心劣りもぞせさせ給ふ。物忌の姫君のやうならば」と聞ゆれば、「笠も取りあへで、袖をかづき
て帰るばかり」と笑ひ給ふ。格子のはざまに入れ奉りて、留守の宿直人や見つくると、おのれもしばし簀子にをり。
(注)〇人なき折―この時、姫君の継母たちは、従者をつれて石山寺に詣でていた。
この時には他界していた配書
すのこ
(『落窪物語』巻一)