近代社会における制度の考え方
自由人という言葉がしばしば用いられています。しかし
自分は自由であると信じている人間は、かえって、不断に
自分の思考や行動を点検したり吟味したりすることを怠り
がちになるために、実は自分自身の中に巣食う偏見から最
も自由でないことがまれではないのです。逆に、自分が「と
らわれている」ことを痛切に意識し、自分の「偏向」性を
いつも見つめている者は、何とかして、より自由に物事を
認識し判断したいという努力をすることによって、相対的
に自由になりうるチャンスに恵まれていることになります