現代文
高校生

「である」ことと「する」ことの第2段落で、
①「である」論理、「である」価値
②「する」論理、「する」価値
とはそれぞれどういうものか。
という質問が分からないので、どう答えればいいか教えてください

近代社会における制度の考え方 自由人という言葉がしばしば用いられています。しかし 自分は自由であると信じている人間は、かえって、不断に 自分の思考や行動を点検したり吟味したりすることを怠り がちになるために、実は自分自身の中に巣食う偏見から最 も自由でないことがまれではないのです。逆に、自分が「と らわれている」ことを痛切に意識し、自分の「偏向」性を いつも見つめている者は、何とかして、より自由に物事を 認識し判断したいという努力をすることによって、相対的 に自由になりうるチャンスに恵まれていることになります
制度についてもこれと似たような関係があります。 民主主義というものは、人民が本来制度の自己目的化 物神化を不断に警戒し、制度の現実の働き方を絶 えず監視し批判する姿勢によって、初めて生きたものとな りうるのです。それは民主主義という名の制度自体につい て何より当てはまる。つまり自由と同じように民主主義も、 不断の民主化によって辛うじて民主主義でありうるような、 そうした性格を本質的に持っています。民主主義的思考と は、定義や結論よりもプロセスを重視することだと言われ ることの、最も内奥の意味がそこにあるわけです。 このように見てくると、債権は行使することによって債 権でありうるというロジックは、およそ近代社会の制度や モラル、ないしは物事の判断の仕方を深く規定している「哲 学」にまで広げて考えられるでしょう。 「プディングの味は食べてみなければ分からない。」とい う有名な言葉がありますが、 プディングの中に、いわばそ の「属性」として味が内在していると考えるか、それとも 食べるという現実の行為を通じて、美味かどうかがその都 8 Ⅰ部 E 10 15
文白 ている者は、 判断したいという努力をすることによっ 度検証されると 考えるかは、お よそ社会組織や 人間関係や制度 の価値を判定す る際の二つの極 を形成する考え 方だと思います。 2 身分社会を打破し、実在論を唯名論に転回させ、あらゆる ドグマを実験のふるいにかけ、政治・経済・文化などいろ いろな領域で「先天的」に通用していた権威に対して、現 実的な機能と効用を「問う」近代精神のダイナミックスは、 まさに右のような「である」論理・「である」 価値から、「す る」論理・「する」価値への相対的な重点の移動によって 生まれたものです。もしハムレット時代の人間にとって "to be or not to be" が最大の問題であったとするならば、 近代社会の人間はむしろ"to do or not to do" という問い がますます大きな関心事になってきたと言えるでしょう。 55 * 映画「ハムレット」の一場面 おうか もちろん、「『である』こと」に基づく組織(例えば血族 関係とか、人種団体とか)や価値判断の仕方は将来とても なくなるわけではないし、「『する』こと」の原則があらゆ る領域で無差別に謳歌されてよいものでもありません。し かし、私たちはこういう二つの図式を想定することによっ て、そこから具体的な国の政治・経済、その他さまざまの 6近代評論(三七八ページ) 7アームチェア armchair 肘掛け椅子。 物神化 人間が自らつくり出したもの(物や制度)が大きな権威を 持って、逆に人間を支配するようになること。 9プディング pudding 牛乳や卵、小麦粉、肉、果実などの材料を 混ぜ合わせ、蒸したり焼いたりして作る食品。 10実在論 普通概念 (例えば、「人間」という理念)が、個物(例えば、 個々の人間)に先立って、客観的に実在するという考え方。 1唯名論客観的に実在するのは個物だけであり、個物を総括する普 通概念は、後から人間が作った記号・名前にすぎないという考え方。 「思考への扉1 実在論 1 唯名論」(一〇八ページ) 1ドグマ dogma 教義。 135 ダイナミックス dynamics 力学。 14 ハムレット時代 十七世紀初頭、『ハムレット』が上演された時代。 『ハムレット』は、シェークスピア〔一五六四―一六一六の四大 悲劇の一つ。 15 "to be or not to be" 『ハムレット』 第三幕第 一場にあるハムレットの独白の冒頭句。 *ふるいにかける
「である」ことと「する」こと 論理国語

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