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問5 次に示すのは、本文を読んだ後に、五人の生徒が一茶の浅」
のうちから一つ選べ。解答番号は
生徒A|「茶の湯」に関しては、日本史の資料集で茶室の写真を見たことがあるというくらいの知識だけど、
茶室は狭くて質素な空間だね。筆者は、その無造作なさりげなさの裏に、洗練の度合いを深めようとする茶人利休
の強烈な意識を見て取っているんだね。
生徒B|そうだね。茶室は小さくて最小限のしつらいしかない簡素な空間だからこそ、その場に集う人々が
そのしつらいに込められたメッセージを読み解いたり、膨らませたりする自在なイマジネーションの共有が可能に
なったんじゃないかな。
生徒C||それが、筆者の言う「見立て」だね。「見立て」とは、たとえば水盤に浮かべた桜の花びらという最
小限の表現を解釈することで、ぞの場に集う人々が皆、満開の桜の下に座っているような幻想を膨らませ、共有す
ることを言うんだね。
生徒D-
ーなるほど、できる限り何もしないということによって、目の前の現実を超える虚構世界の幻想を呼
び込み、共有することができると当時の茶人たちは考えていたということだね。だからこそ、簡素さに美が宿ると
いうわけだ
生徒E-
庭に咲き誇る朝顔をすべて摘み取ったうえで、茶室にたった一輪の朝顔を生けて秀吉をもてなした
という利休の演出も、一輪の朝顔がそれを見る人の感覚に直接訴えることで豊かなイマジネーションをもたらすと
いう茶の湯の美学を伝えているんだね。