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17 芳香族化合物
256 <エステルの合成実験>
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次の文章を読み、下記の問いに答えよ。
200mLの乾いた丸底フラスコにサリチル酸 16.3g,エタノ
ール40mLを加え,さらに濃硫酸3mLを徐々に冷却しなが
ら少しずつ加えた。 沸騰石を入れたのち, コルク栓で還流冷却
器を取りつけ, 湯浴上でおだやかに1時間加熱還流した。
反応液を室温まで冷却後、分液ろうとに移し, b水70mLと
ジエチルエーテル40mLを加え、よく振り混ぜたのち静置し、
下層液を除去した。 次に, 分液ろうとに残った液体に。飽和炭
酸水素ナトリウム水溶液30mL を加え,気体が発生するので注
意しながら振り混ぜた後,静置し,下層液を除去した。 この液
体は捨てずにビーカーにすべて集め、ここへ希塩酸を十分に加
えたところ、白い固体が生成した。この固体をよく乾燥し,そ
の質量を測定したところ2.5gであった。
CO
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還流冷却器
沸騰石
湯浴
分液ろうとに残った液体に50%塩化カルシウム水溶液を加えてよく振りまぜた後
静置し,下層液を除去した。
分液ろうとに残った液体に飽和食塩水30mLを加えてよく振り混ぜた後静置し,下
層液を除去した。 分液ろうとに残った液体を三角フラスコに移し,無水硫酸ナトリ
ウムの固体を少量加え,一晩放置したのち, 固体をろ別した。
液を枝付きフラスコに入れ, まず水浴上で,g 液体が留出しなくなるまで加熱し
た。 残った液体は沸点が高いので, 実験装置の一部を取り替えたのち, 沸点220~
224℃で蒸留することにより, 芳香のある目的の化合物A10.5gを得た。
(1) 生成物Aの構造式と名称を書け。
HORA SE
(2) 下線部aで,濃硫酸を加える目的は何か。 希硫酸ではなぜ不適当なのか。
(3) 反応液の加熱に,直接丸底フラスコを加熱せずに, 湯浴を用いるのはなぜか。
(4) サリチル酸よりもエタノールを過剰に加えて反応させる理由を述べよ。
(5) この実験で使用した還流冷却器の働きについて述べよ。
(6) 化合物A の生成量は, 反応式から期待される理論量の何%にあたるか。
(7) (6)で計算した収率は必ずしも多くない原因として考えられることを簡単に記せ。
(8) 下線部cで起こった反応を、化学反応式で示せ。
(9) 下線部cで,飽和炭酸水素ナトリウム水溶液の代わりに10%水酸化ナトリウム水
溶液を用いたとしたら,どんな不都合があるのかを説明せよ。
00) 下線部b,c,d,e,fの操作は,それぞれ何の目的で行うのか。
下線部gで留出してくる液体は何か。 その示性式で示せ。
図2 下線部hでは,どのようなことを行う必要があるのか。
(千葉大改)
3 生成した有機化合物が固体物質の場合, 純物質であるか否かはどのように調べた
らよいか。 その実験法の概略と純物質である場合に予想される結果を述べよ。