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D 遺伝暗号表
コドン codon
mRNAの塩基配列が、タンパク質のアミノ酸配列を指定していることを学習した。生
体内のタンパク質に含まれるアミノ酸は20種類存在するが, mRNAに含まれる4種類
の塩基配列で20種類のアミノ酸配列を指定できるのだろうか。
4種類のうちの3つの塩基で1個のアミノ酸を指定するのであれば、全部で64 ( 4 ×4 × 4 =
64)通りであるから十分な数である。 この連続した塩基3個をトリプレットという。これらが20
種類のアミノ酸に対応している。
でんあんごうひょう
1960年ごろ、多くの研究者によって,それぞれのトリプレットがどのアミノ酸を指定するかが
突き止められ,遺伝暗号表という表にまとめられた。 遺伝暗号表では, トリプレットが mRNA
の塩基配列で表示され,各トリプレットをコドン (遺伝暗号の単位) という。 例えば, UGC のコ
ドンの1番目がU, 2番目がG, 3番目がCの配列には, システイン (Cys) が対応する。
64 個のコドンのうち, 3個 (UAA, UAG, UGA) はアミノ酸に対応しておらず, そこで翻訳が
しゅう し
かいし
終了するため、終止コドンという。一方, 翻訳の開始には, AUGが対応しており、開始コドンと
いう。これは同時にメチオニン (Met) を指定するコドンでもある。
▼表1 遺伝暗号表
コドンの1番目の塩基
U
UUU
G
UUC
UUA
UUG
CUU
CUC
CUA
CUG
AUU
AUC
A AUA
AUG
GUU
GUC
GUA
GUG
U
フェニルアラニン
(Phe)
ロイシン
(Leu)
ロイシン
(Leu)
イソロイシン
(Ile)
開始コドン
メチオニン (Met)
バリン
(Val)
UCU
UCC
UCA
UCG
CCU
CCC
CCA
CCG
ACU
ACC
ACA
ACG
GCU
GCC
GCA
GCG
C
コドンの2番目の塩基
セリン
(Ser)
プロリン
(Pro)
トレオニン
(Thr)
アラニン
(Ala)
UAU
UAC
UAA
UAG
CAU
CAC
CAA
CAG
AAU
AAC
AAA
AAG
GAU
GAC
GAA
GAG
A
チロシン
(Tyr)
終止コドン
ヒスチジン
(His)
グルタミン
(Gln)
アスパラギン
(Asn)
リシン(リジン)
(Lys)
アスパラギン酸
(Asp)
グルタミン酸
(Glu)
UGU
タンパク質は、DNAの塩基配列を mRNAに写し取る過程と, mRNAの塩基配列をもとに
再て全成される
UGC
CGU
UGA 終止コドン
UGG トリプトファン (Trp) G
CGC
CGA
CGG
AGU
AGC
AGA
AGG
GGU
GGC
G
GGA
GGG
システイン
(Cys)
アルギニン
(Arg)
セリン
(Ser)
アルギニン
(Arg)
グリシン
(Gly)
G UCAG
UCA
G
U
C
A
G
コドンの3番目の塩基
この節のポイント
タンパク質は、DNA の遺伝情報をもとにして,転写・翻訳という過程を経て合成される。
! 転写の過程では,遺伝子の塩基配列が写し取られ, mRNAがつくられる。 翻訳の過程では、
mRNAの塩基配列によって指定されるアミノ酸がつながってタンパク質ができる。
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2
編