V
●水の分解を放出して酸化された反応中心クロロフィルは,他の物質からeを受
け取りやすい状態になっている。この状態にある光化学系Ⅱの反応中心クロロフィル
は、水からe を得て還元され,活性化する前の状態に戻る。e を失った水は分解され
酸素とHが生じる (図8-1)。
●電子伝達 光化学反応で活性化された光化学系II から放出されたe,eの受け渡
electron transport system
しをするタンパク質で構成された電子伝達系と呼ばれる反応系内を移動する。このと
き同時に,Hがストロマからチラコイド内腔に輸送され,チラコイド膜をはさんで
H*の濃度勾配が形成される(図3-2)。 電子伝達系を経たは,活性化された光化学
酸化
系Iの反応中心クロロフィルを還元する。こを待
●NADPHの合成 活性化された光化学系 Iから放出された2個のeと,2個のH+に
よってNADPが還元され, NADPHとHが生じる (図8-③)。
●ATPの合成 光化学系Ⅱでの水の分解や, 電子伝達系におけるH+の輸送によって,
チラコイド内腔のH+の濃度はストロマ側よりも1000倍程度高くなる。 こうして, チ
ラコイド膜をはさんでH+の濃度勾配が形成される。 この濃度勾配に従ってH+ は ATP
ATP synthase
ごうせいこう そ
合成酵素を通ってストロマへ拡散し,これに伴ってATPが合成される (図8-④)。 こ
こう
さんか
の過程は光リン酸化と呼ばれる。
photophosphorylation
このような過程によって, 光エネルギーに由来するエネルギーがNADPHとATP
に貯えられる。これらは, ストロマで起こる反応に利用される。