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第3問 植生と遷移
Aでは 「植生と遷移」 について、遷移の過程と
ギャップ更新についての基礎的な知識を問う。 B
では土壌中の炭素量の変化を示すグラフをもと
土壌についての基礎的な知識と考察力を問う。
問1 14 ②
陽生植物と陰生植物の光合成速度のグラフから、光
補償点 光飽和点などの違いと、 成長における特徴
を読み取ることができるかを問う。
植物は,受ける光の強さによって光合成速度を変化
させる。図2は光の強さに対する光合成速度(この調
査では二酸化炭素吸収速度を指標にしている)の変化
を示しており、 ある光の強さにおける呼吸速度や光合
成速度(注1),光補償点や光飽和点などを読み取ること
ができる (次図)。 ただし、呼吸速度 (二酸化炭素放出
速度を指標とする) は光の強さとは無関係に一定であ
ると仮定している。 (注2)
が曲線あの植物よりも、より光の弱いところでも生存
できることがわかる。 曲線いが曲線あよりも上になる
光の強さの範囲は、 図2のcからeまでの間であるの
で、正解は ②である。なお, cよりも弱い光の強さで
はいずれの樹種も生育できない。
光の強さと光合成に関するこのような性質は、同じ
1本の樹木の中でも部位によって異なり,光がよく当
たる部位の葉は陽葉とよばれ、陽生植物的な性質を示
すのに対して,光があまり当たらない部位の葉は陰業
とよばれ、陰生植物的な性質を示す。
(注1) 「光合成速度」 は 「二酸化炭素吸収速度」に「呼
「吸速度」を加えたものであるが、 「二酸化炭素吸収
「速度」 すなわち 「見かけの光合成速度」を「光合
成速度」とする場合もあるので、注意が必要である。
によっ
林床
ギャ
オニ
よう
更新
と考
森林C
上面
森林(
断面
(注2) 特に指示がない場合, 「呼吸速度」 は光の強さ
とは無関係に一定と考えてよいが、 実際には温度
や光の強さなど,さまざまな環境要因によって変
化する。
ギャン
形成
時間
樹林
密
(個体
陽生植物
Point! 陽生植物と陰生植物
.....
①
陽生植物 :
光補償点
光飽和点
陰生植物
□ 明るいところでよく成長し、陰生植物に比べ
光補償点, 光飽和点が高い。
②
光の強さ
□代表種は、イタドリ ススキ アカマツクロ
マツヤシャブシシラカンバなど。
(3
陽生植物の呼吸速度
陰生植物 :
二酸化炭素吸収速度
(吸収) +10→一(放出)
⑤
問
陰生植物の呼吸速度
図 陽生植物と陰生植物の光合成速度
光飽和点は, 「これ以上光を強くしても光合成速度が
増加しなくなる光の強さ」 である。 また, 光補償点は,
「光合成速度と呼吸速度が等しくなる光の強さ」 である。
曲線あの植物は曲線いの植物に比べて光飽和点と光補
償点が高い。 光飽和点が高く二酸化炭素の吸収量が大
きいということは, 強い光が当たったときにより多く
の光合成産物(有機物) をつくることができるというこ
となので, 曲線あの植物は曲線いの植物よりも明るい
ところでよく成長する植物 (陽生植物)であることがわ
かる。また, 光補償点が高いということは, 光合成速
度が呼吸速度を上回るためにより強い光を必要とする
ということなので, 光補償点が低い曲線いの植物の方
□光の弱いところでも生育でき, 陽生植物に
比べて光補償点, 光飽和点が低い。
□代表種は、シイ類 カシ類 クスノキ・タ
ブノキなどの陰樹の芽生えや幼木。
問2 15 ③
極相林におけるギャップの意味が理解できているかを
問う。
問題文中に記述されている通り、森林は、林床の光
環境の変化に伴って, 陽樹が優占する状態から、陰
樹が優占する状態へと変わっていく。しかし、実際
には森林全体が陰樹のみで占められることはほとんど
ない。その要因としてギャップの形成が挙げられる。
ギャップとは、森林内での倒木や樹木の立ち枯れな
(第6回-6)