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資料から読み解く 諸子百家の思想
文献 「孟子」浩子章句上
( 前4世紀頃)
隠の心[他者の苦難を放置できない同情心]、
しゅう
人、皆えれ有り。 羞悪の心 [悪を恥じる心]、 人、
きょうけい
皆され有り。 恭敬の心 [尊敬の念]、 人、 皆之
ぜひ
れ有り。 是非の心[善悪を見分ける心]、人、
皆之れ有り。 側隠の心は仁なり。 羞悪の心は
義なり。 恭敬の心は礼なり、 是非の心は智な
り。仁・義・礼・智は、外由り我をする [磨
き上げられる] に非ざるなり。 我、これを固有
するなり。
ろうし
文献3 『老子』 下篇
(前4~前3世紀)
学を為せば、日に益す (日々知が増す)。 道を
為せば日に損す(知欲は日々損せられる)。 之
れを損して又たこれを損し(損に損を重ね)
て為すこと無き(無為)に至る。 為すこと無く
して、為さずということ無し。 故に天下を取
るには、常に事無きを以てす(無為をもってす
る)。 其の事有るに及びては(人為をもって有
意であると) 以て天下を取るに足りず。
*文献の出典はいずれも歴史学研
究会編 「世界史史料3』 岩波書店
文献② 「荀子」 性悪篇(前3世紀)
いつわり
しつ
人の性は悪なり。 その善なる者は偽[後天
的につくられたもの] なり。 今、 人の性、 生
まれて利を好むこと有り。 是れに順う。
に争奪生じて辞譲 [互いに譲る] 亡ぶ。 生ま
れて疾悪[憎む心] 有り。 是れに順う。故に
残賊 [傷つけ合う] 生じて忠信ぶ。・・・・・故
に必ず将に師法の化 [教師によって教化さ
れ]、礼義の道有りて、然る後に辞譲に出で、
文理に合して [道徳や秩序にかない] 治に
帰せんとす [世の中は平和に治まる] 。
かんび
にへい
文献 4 『韓非子』二柄(前3世紀)
明主の導りて其の臣の制する所の者は二柄
のみ [賢明な君主が臣下を制御する拠り所は
二つの権力だけである]。 二柄とは、刑・徳
なり。 何をか刑・ 徳と言う。 甘く、 「殺戮を
きつりく
ほうび
これ刑と謂い、 慶賞 [褒美を与えること] を
これ徳と謂う」、と。 人臣為る者は、罰を
ちゅうばつ
れて慶賞を利 [喜ぶ] とす。 故に人主[君
[主]、 自らその刑徳を用いば、 則ち群臣其の
威を畏れて其の利に帰す。
読み解き
1各文献は、それぞれの思想家のどのような概念に関係するものだろう。
2 諸子百家が登場した時代背景は何だろう。
儒を的
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