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A
第 132問 緩衝液のpH
水に強酸や強塩基を少量加えるだけで,pHは大きく変化する。例えば,25℃の純粋な
水のpHは 7.0 であるが,1.0Lの水に 1.0mol/Lの塩酸 1.0mL を加えるとpHは3.0と
なる。また,1.0L の水に 1.0mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液10mLを加えるとpHは
(ア)となる。
一方,弱酸とその塩の混合水溶液,あるいは弱塩基とその塩の混合水溶液は,その中に
酸または塩基が少量混入しても,pHの値がほぼ一定に保たれる作用 (緩衝作用)がある。
そのような水溶液を緩衝液とよび、一定に保ちたいpHの値に応じて (1) さまざまな緩衝液
を用いることができるが,ここでは酢酸と酢酸ナトリウムからなる緩衝液のはたらきにつ
いて考えてみる。
加水分
トリウム
04000 HỌ
平定数を
なすことができる
物です。
=(a)... ②
右辺の分
のイオンK を用
酢酸は水溶液中で,式 (1) の電離平衡にあり,その電離定数Kは式 (2) で表される。酢
酸は弱酸であり,K は 2.0 × 10 - 5 mol/Lと小さい。
CH3COOH CH3COO+H+
[CH3COO-] [H+]
Ka=
[CH3COOH]
(!!)
......(1)
10
……………
(2)
式 (1) の電離平衡および式 (2) は酢酸水溶液に酢酸ナトリウムを加えた混合水溶液でも
成り立つ。 濃度 0.20mol/Lの酢酸水溶液100mLと, 0.10mol/Lの酢酸ナトリウム水
溶液100mLを混合した水溶液を作った。 この混合水溶液中では,酢酸ナトリウムはほぼ
完全に電離し,酢酸はほとんど電離していないと考えてよい。 この混合水溶液に酸を加え
ると式 (3) の反応が進み, 加えた酸が酢酸イオンによって消費される。 逆に, 塩基を加え
ると式(4) の反応が進み, 加えた塩基が酢酸によって消費される。
CH3COO + H+
CH3COOH
CH3COOH + OH→ CH3COO + H2O
....... (3)
.......(4)
加えた酸および塩基の量に比べて,溶液中にあらかじめ存在する酢酸イオンおよび酢酸
[CH3COO¯]
[CH3COOH]
の量が十分多い場合には
として機能する。
4=(b)
..
1. Cmol/Lの酢酸ナ
して平衡に達したと
0001は(c)mc
ml/Lと近似できる。
うに表すことができる。
Ky=(d)...
とりは共にKを表
[OH] なので、
一の変化、つまりpHの変化が小さくなるので緩衝液
れいて次のように表す
神の空(a)
20.070mol/L
L). K.-10
まで求めよ。
* 問1 (ア)にあてはまる値を小数第1位まで示せ。 ただし,水酸化ナトリウム水溶液
を加えたときの溶液の体積変化は無視してよい。
問2 下線部(i) について,次の(a)~(d)に示す2成分を1:1の物質量の比で含む混合
水溶液のうち,緩衝液に分類できるものはどれか、全て選んで記号で答えよ。
(a) NH4CI/HCI (b) NazHPO4/NaH2PO4
(d) KCI/KOH
(c)NaHCO3/H2CO3
問3 下線部 (ii) の水溶液のpHを小数第1位まで求めよ。 ただし, log2
= 0.48 とする。
= 0.30, log3