流れ星は君の涙
星に姫星(きらら)といふ女子居き。
姫星はお星のお姫なりき。
輝きて居る姫星をみなはともしがれり。
されど,姫星はお星のお姫はうたてかり
き。
みな姫星の事をお姫としか
思ひたらで何もえ話さず。
孤独を感じたる姫星のがりあるを
とこがやりく。
『君は誰?ここに何せる?』
姫星は特別扱ひなどうたてかりき。
なれば姫星はお姫といふ事を隠す事にせ
り。
『我は姫星。この星を守れり。君は
誰?』
をとこは言ひき。
『通りすがりの旅人ぞ。名は宙(ひろ
と)。
一人独りなる?さうざうしからず?』
姫星はとっさにいつはりをつきてけり。
『今は一人なばかり。
寂しくもなるともあらずよ。』
宙期は聴きき。
『なればなどかさるさうざうしからむ
顔せる?』
姫星は正直にいらへき。
『我は,お星のお姫。
みな我をお姫としか見ず。なればえ話
さず。
おなじくは君も我がお姫さりとてけし
きを
変へむ。』
宙期は言ひき。
『さる事せぬぞ。
なんとなれば姫星はお星のお姫。
我は星の人ならねば, 従ふよしなく無
し?