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新傾向問題
『堤中納言物語』
次の文章は、主人公の少将が、深夜、恋人の家からの帰り道に、
ある荒れた屋敷の中をのぞき見て、そこの女主人に心ひかれる場面
である。
も少し
すほう
のなるのき下に隠れて見れば、「少納
君こそ明けやしぬらむ。でて見縮へ。」と言ふ。よきほどなる厳
の様態をかしげなる、いたう萎えすぎて宿直姿なる、 にやあらむ、
つややかなる相に、うちすきたる髪の裾、水に映えて、なまめかし。
月の叩き方に、扇をさし隠して、「月と花とを。」と口ずさみて、花の方
へ歩み来るに、驚かさまほしけれど、しばし見れば、おとなしき人の、
「光は、などか今まで起きぬぞ。弁の君こそ。ここなりつる。参り給へ。」
と言ふは、ものへ謝づるなるべし。 ありつる童は留まるなるべし。 「わび
しくこそおぼゆれ。さはれ、ただ御供に参りて、近からむ所にみて、御
社へは参らじ」など言へば、「もの狂ほしや。」など言ふ。
みな仕立てて五六人である。下るるほどもいとなやましげに、これぞ
なるらむと見るを、よく見れば、衣ぬぎかけたる様態、ささやかに
いみじうめいたり。 もの言ひたるも、らうたきものの、ゆうゆうしく
聞こゆ うれしくも見つるかなと思ふに、 やうやう明くれば、帰り給ひ
(注5)
男ども供の男たち。
2 こそさん。
『説苑』
次の文章は、斉の桓公と、その桓公に認められ、斉の政治を任さ
れた管仲にかかわるエピソードである。
管仲治
ぬ。
8
不
斉
(注1)
(注) 1
[Ⅱ] [二]
故y桓
公
以
仲
?
対へ
..
(注3)
市
租そ
El@ 1,
桓公曰、「何故」管
桓公
二之斉国
桓公曰、「何故」、「
(注5)
以為
斉国
天下
見下ろす。 ここは、人を治める意。
向かう。
2 上剛
上級の職
3市和
市の租税。
4
君主と
君主の近親者。
仲父「仲」は管仲、 「父」は尊称。相公が管仲を父親のように尊んで仕
えようとした呼び名。
大
(注2)
卿
日ハ
3
貧 =
年,
-07
仲
不能
血を
国
不
治
不ト
2+
対
面。
安の
血
遂二
日
能人
使っ
国不治。
桓公
(注4)
次は、当時の恋愛の流れについてまとめたものである。これを見て、後の問
いに答えよ。
相手の女性のことを知る(噂で聞く垣間見をする)
② 女性に仕える人(女房・童など)につてを作り、手紙を送る
を書いて贈るのが一般的〕
色よい返事をもらえたら、 女性に会いに行く
【8点】
① 空欄に適切な語を補って書け。
【9点】
② 上の文章の場面の後、少将は何をしようとすると考えられるか。それを説
明した次の文の空欄に、適切な内容を十五字以内で補って書け。
○女主人に手紙を送るために、
■とする。
2 上の文章の表現についての説明として最も適切なものを、 次から選べ。 【9点】
⑦童や少将の服装など、登場人物の外見が詳しく描写されている。
少将だけでなく、さまざまな人物の視点から描かれている。
女主人と少将の出会いの様子が、回想を交えて述べられている。
① 少将が見聞きしたことから、屋敷の人々の状況が推測されている。
主人の心の動きが、 比喩を用いて表現されている。
< P.40~4
次は、上の文章の後に続く孔子の評である。これを読んで、後の問いに答え
よ。
孔子
日、「管仲之野、不得三此三橋者、亦不能
矣。」
君南
孔子が言うことには、「管仲の賢さえ、この三権を手に入れなければ、またその君主を
南面させて、覇者にならせることはできなかった。」と。
① 孔子の考えを説明した次の文の空欄に適切な語句を補って書け。
○管仲の能力は、
■ ことで発揮された。
【9点】
②孔子の絆をふまえて考えると、桓公はどのように評価されるか。 その説明
として最も適切なものを、 次から選べ。
⑦ 管仲に権力を集中させないよう、調整する役に徹した。
M管仲がどれほど失敗しようと、その才能を信じ続けた。
管仲の諫言をすべて聞き入れ、 徳のある行動をとった。
管仲が能力を十分に発揮できるよう、環境を整えた。
管仲の進言に従い、政治を妨げている者を遠ざけた。
ほうじゅくが
2 管仲は鮑叔牙との友情のエピソードで知られ、「管鮑の交わり」という故事成
語にもなっている。 この故事成語と同じ意味で用いられない故事成語を、 次か
ら一つ選べ。
の刎頸の交わり
肝胆相照らす
朱に交われば赤くなる
莫逆の友
かんたん
而
〈P.30~3〉
quaty
[co-DE]