ステップ1
読解
うじしゅういものがたり
『宇治拾遺物語』
編者未詳
〇文法
ひじり
ある聖の友人の男で、日夜鹿を殺す者がいた。ある夏の夜、男は妙な鹿と出
しく思った男は、近寄ってよくよく見るが、どうも合点がいかない。
(注2)
この鹿の目の間の、例の鹿の目のあはひよりも近くて、目の色もかはり
(注3)
思ひて、弓を引きさしてよく見けるに、なほあやしかりければ、矢を外して
目にはあらぬなりけり」と見て、「起きば起きよ」と思ひて、近くまはし寄せ
皮にてあり。 「なほ鹿なり」とて、また射んとするに、なほ目のあらざりけ
(注5)
寄せて見るに、法師の頭に見なしつ。 「こはいかに」と見て、 おり走りて火
とて見れば、この聖目うちたたきて、鹿の皮を引き抜きてそひし給
はおはしますぞ。」と言へば、
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説話
(注1)しし