5 評論(二)
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ればなりません。そこに生物多様性を保全することの理由があるのです。
オイコス(oikos)という言葉をご存じでしょうか。エコ(eco)という言葉の語源と
なったギリシャ語です。もともと、所在、すみか、家、生息地、といった意味でした。先
に記したニッチと似た言葉です。
そのオイコスが、だんだん「そこに共に生きる仲間」という意味に広がっていったので
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す。仲間の範囲を生物全体に広げて考えると、そこに必要なのは、oikos + logos (論理)
ということになり、エコロジー(ecology)という言葉が生まれました。
つまり、端的にいうと、oikos とは生きるということと同義語です。そしてエコ(オイ
コス)の原点は、他の生命をふくめた自分たちのすみかのあり方を考えること、というこ
とになります。
一七世紀、デカルトからはじまった思想は、人間の理性の優位性を信奉し、世界のあら
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こみ