(日点)
|三 次の文章を読んで、後の問いに答えなさい。
ことばに寂しくなると、北原白秋の「桐の花」をひらく。白秋
自身の表現を借りるならば、「一寸触つても指に付いてくる六月
の標格の花粉のやうに」ことばの花がこぼれ落ちてくる。
春の島な鳴きそ鳴きそあがあかと外の面の草に日の入る夕
巻頭のこの一首は、白秋の歌に対する思いを、象徴しているかの
ようだ。(春の鳥よ
たはらはくしゃ
しゅ ろ
私はおまえの鳴き声ではなく、おまえを包み、鳴かせようとする
B_をこそ歌にしたいのだ。)
ように思われる。「桐の花とカステラ」の中の「私には鳴いてる小
鳥のしらべよりもその小鳥をそそのかして鳴かしめるまでにいた
る周囲のなんとなき空気の提へがたい色やにほひがなつかし
だ」ということばとそれは響きあう。
。そんな短歌観を宣言している
昔、理科の時間に、空気の動きを観察する実験があった。どう
やってその流れを追うかというと、透明な箱の中に煙をいれて、
その煙の動きを空気の動きとして観察するのである。煙とは物理
的に言うと固体で、細かい粒であるらしい。それを、気体である
空気にくっつける。
白秋の歌のことばも、その煙の粒のようなものではないだろう
かと思う。目に見えない空気に、たくさんたくさんことばの粒を
くっつけて、その流れを表現する。そしてそのことば自身も、煙
のように淡いことば。
返り、せきこんでしまうほどの煙がうずまいている。
D_文字という箱の中で、ときにはむせ
それが私